ホンダ NSX 2370万円の国産スーパーカーに感じる「非常に深い断絶」とは

ホンダ NSX 2370万円の国産スーパーカーに感じる「非常に深い断絶」とは

国産スーパーカー・ホンダ NSXがマイナーチェンジされた。マイチェンモデルの発売は2019年5月となっているが、NSXは受注生産につき、納車まで半年から1年かかる。よって、いま申し込んでも納期は最速でも2019年5月以降。つまり「もう変わりました」と言って差し支えないだろう。

NSXといえば、1990年の発売当時、フェラーリなどに対抗し得る日本で唯一のスーパースポーツとして注目を集めた初代モデルが“元祖”。

現行型NSXが発売されたのは、その初代モデルが2006年に生産を終えてから約10年後のこと。2016年発売の現行型は、ホンダ独自の4WDシステムを使ったハイブリッドスポーツに生まれ変わった。今回試乗したのは、冒頭でも触れたその最新モデルだ。

価格2370万円。ニッポンのスーパーカー、最新のNSXは何が変わったのか? そして、かつてのNSXと比べて、その“立ち位置”は変化しているのか?

文:清水草一
写真:池之平昌信


“改良版”NSXは何が変わった?

写真のサーマルオレンジ・パールは、初代に設定されたイモラオレンジ・パールをイメージした新設定のボディカラーだ

変更点は、まずはダイナミクス性能(走る・曲がる・止まるに関わる車の性能)の進化だ。

新開発の専用タイヤ(コンチネンタル・スポーツコンタクト6)を採用し、サスペンション性能をアップ。フロントスタビライザーを26%、リアスタビライザーを19%、リアコントロールアームブッシュを21%、リアハブを6%、それぞれ剛性を高めている。

また、走行シーンに応じて最適な車両特性を選択できる「インテグレーテッド・ダイナミクス・システム」の各モード制御を最適化し、その他走りに関するあらゆる部分の熟成を進めた。

これによって、低中速域での切れの良いハンドリングと、高速域での安定性を高次元で両立させ、限界域でのコントロール性や安定性もアップしているとのことだ。

変化は進化に繋がった!? ホンダスピリット“頂点”の実力

箱根のワインディングロードを走るNSX。真骨頂でもある誰でも扱えるスーパーカーというコンセプトは不変だ

では、実際に乗ってどうだったのか?

実を言えば、NSXに乗ったのは約2年ぶり。今回のマイチェンでの変更点は、ファインチューンというべきもので、決して大きな変更ではない。初期モデルがどんなだったか、そんなに詳細には覚えていないというのも事実で、公道での試乗で違いを実感するのは、大変困難な作業だった。

あえて「ここは変わったかな?」と思ったのは、まず乗り心地。全体に以前より少しハードになったという印象だ。スタビライザー等を固めているのだから当然だが、それでもまぁ現代のスーパーカーらしく、まったく問題のない快適性は実現している。ゼブラ舗装の部分を走る時は、「あれ、前よりガタガタするな」とは感じたが、その程度である。

パワートレイン系の変更はないが、加速は相変わらずメチャ速い。といってもこれまた、現代のスーパーカーとしては標準的なもので、ライバルと目されるフェラーリ488やランボルギーニ・ウラカンとほぼ同等レベルだ。

ただし、NSXはスーパーカーのボトムクラスでは唯一のハイブリッドカー。モーターの加速が加わる分、アクセルを踏んだ瞬間にグイーンと背中を押される感覚はかなり独特だ。

そしてコーナリング。これに関しては、サスペンション剛性を高めた結果、以前よりロール等の姿勢変化が小さくなった……気がする。また、スポーツハイブリッド SH-AWDの駆動力配分が熟成されたせいか、人工的に曲げる感覚が薄まり、以前より若干自然に、かつ安定して曲がるようになった印象だ。

しかし、まぁこの辺は、本当にファインチューンの領域で、これで「NSXの魅力が大幅アップ!」とか、「新たな世界が見えた!」とかいうことではない。公道レベルでは、言われなければわからないレベルの違いだ。

鈴鹿サーキットのラップタイムは2秒短縮されているので、サーキットならかなり違いが体感できるのかもしれない。

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