■「本物感」を感じさせるラングラーとSUVぽいパジェロ
室内を見ましょう。ラングラーのドアポケットはゴムの網でアメリカ人が普通に携帯する2Lのペットボトルをグイと押し込めます。
ラフロードでクルマが揺すられても飛んでいくことはありません。ラングラーはルーフを外すことができるので、ロールケージのような図太いバーがルーフレールの位置に張り巡らされています。
これはいいですね。無骨で力強さを感じます。
ドアの開きすぎを止めるストッパーはワイヤー入りのベルトです。これもいいですね〜。
外側についたヒンジもガッチリとした鋳物で頑丈そうな作りです。岩場などで車体が傾いたような場面でドアを開けた時には自重、あるいは砂漠などでは強風でガバッと開いてしまいます。
華奢なストッパーではドアの力を受け止めきれず、ヒンジが曲がってしまいますが、このベルト式のストッパーとガッチリしたヒンジならばまず大丈夫でしょう。
後席の居住空間は余裕たっぷりです。大柄なアメリカ人が乗ることを前提としているのですから、私が乗って窮屈だったら大変です。コンソールのスイッチ類やソケットなどはしっかりと防水対応がされています。
屋根を取っ払って自然のなかを走ることを考えているのです。これがアメリカンテイストなのです。
ラングラーのタイヤは完全に岩場用のオフロードタイヤです。いちおう「M+S」の表示はありますが、このトレッドパターンでは雪は期待できません。岩場用です。
シートは一見スポーティ形状に見えますが、座ってみるとホールド性はよくありません、肥満で大柄なアメリカンが座れるように作られています。
砂漠はハイスピードなのでしっかりとしたホールド性が求められるのですが、岩場は低速で、しかも窓から顔を出して確認するような場面も多いので、あまりガチガチにホールドされるシートはかえって使いづらいのです。
トランスファーのレバーやデフロックのスイッチも大きくて使いやすい。
ワンプッシュで4輪デフロックができるし、切り替えでリアデフロックだけにもすぐにできる。超ヘビーデューティです。
ラングラーを見た後でパジェロを見ると……、やはり乗用車なのです。副変速機の切り替えトランスファレバーやデフロックスイッチなどはありますが、室内のデザインや雰囲気が乗用車です。
ランクルプラドなどと比べるとそこまでクロカンに徹してはいない。クロカンよりのSUVという印象です。
■乗ってわかるパジェロの乗用車テイストの乗り味
走り出した瞬間、オフローダーではなく乗用車の乗り味です。
それほど速度を上げずに走り出しますが、ちょっと足の動きが渋い印象です。これだと砂漠ではキビシイと思います。
もっとストローク初期からスムーズに動いてくれないと、フカフカの砂漠やヌタヌタの泥濘路ではタイヤの接地が活かせません。
ただ、室内の音、特にロードノイズはよく抑えられていますし、乗り心地のカド感もありません。NVHはハイレベルです。
エンジンは3.2Lディーゼルターボですが、排気対策の結果なのか、ディーゼルらしいトルクレスポンスが感じられません。
オフロードでの姿勢作りのためのメリハリを出したアクセルワークについてこない。もっとも、オンロードではどこから踏んでもスッとトルクは出て使いやすいのですが、パンチは感じない。
アンダーステアが強いですね。舵角に対しクルマがどんどん外に流されていく。ステアリングの操舵角に対し、タイヤの舵角がコーナリングの最中に変化していってしまっています。
これは足回りの問題。操舵初期にはリニアにタイヤ切れ角がついてくるのですが、荷重が入ってくるとタイヤ切れ角が戻されていってしまう。
リアの足はしっかりしていますが、フロントサスのアライメントの保持剛性が足りない。これは運転していて疲れます。
ラック取り付け部やアームリンクのゴムブッシュが入力に対して変形してしまっているのでしょう。
ブレーキング時のノーズダイブも大きい。これは前後ブレーキ配分ではなく、フロントのスプリングがソフトすぎるのです。
10Nm程度フロントスプリングレートを引き上げて、ショックアブの減衰は、縮み側は少し抜き、伸び側は少し締めてやる。これだけで前後のバランスは圧倒的によくなると思います。
【パジェロファイナルエディション 主要諸元】
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