ホンダ車のチューニングパーツやアクセサリーパーツ開発を手掛けるホンダアクセス。その商品ブランド「モデューロ」は、ホンダファンのみならず多くのクルマ好きから支持を集めている。
そうはいってもディーラーに試乗車があるわけでもなく、一般ユーザーにはなかなか目にする機会も実際に乗る機会も少ない。そこで今回、一般ユーザーを代表して、ベストカーClubと自動車ジャーナリストの鈴木直也氏が、モデューロ各車を試乗。本稿では鈴木直也氏による「モデューロ、どうだった?」という記事をお届けしたい。
文:鈴木直也
■試乗車は7台、会場は栃木のツインリンクもてぎ
ベストカー読者が集まって結成された、その名も「ベストカーClub」。これまでにも、女神湖氷上走行会や富士スピードウェイのエコカーカップなど、ぼくはその活動にときどきお邪魔させてもらっている。
そのベストカーClubが、今回はツインリンクもてぎでモデューロの試乗会を開催するという。用意された試乗会場は広大な第2アクティブセーフティ。外周を回ればほぼ1km以上の距離が稼げる立派なエリアだ。
ここで、モデューロのコンプリートカー、各種パーツを組み込んだデモカー、そして歴史的な名車初代NSXなどに試乗できるというのだから、参加17名の読者イベントとしては贅沢極まりないメニュー。ぼくはアドバイザー的な立場での参加だったけれど、大いにエンジョイすることができた。
【今回の試乗車】
NSX Type S
BEAT
S660 Modulo X
FREED Modulo X(HEV)
Modulo S660
Modulo VEZEL
CIVIC Type R
■モデューロが目指すものとは?
さて、そもそも“モデューロ”とは何ぞやだが、ホンダ純正の用品開発会社“ホンダアクセス”が開発した商品のブランド名だ。1994年発売のアルミホイールに初めて使われて以降、各種用品の統一ブランド名として発展して今日に至っている。
ホンダアクセスがこの“モデューロ”に込めた思いは、ノーマルの新車では満足できないユーザーに向けて、「ホンダ車はもっとカッコよく、もっと走りが楽しくなりますよ!」と提案すること。
量産を前提とした新車は、どうしたって最大公約数狙いとならざるを得ない。クルマ好きが高じるほどに、デザインも走りもお仕着せでは物足りなくなる。そこに、純正用品ならではの完成度と信頼性を備えたモデューロが活躍する舞台があるわけだ。
そういう意味でぼくが注目したのは、各種パーツを組み込んで仕立てたコンプリートカーの“Modulo X”というシリーズだ。
■まずはS660 ModuloXの「味」
今回の試乗会には、S660とフリード・ハイブリッドの2台のModulo Xが用意されていたが、とりわけS660 の方はなかなか魅力的。基本的にはエアロパーツのサスペンションまわりのモデファイがメインなのだが、エアロパーツはあたかもカタログモデルのように完成度が高いし、独自セッティングを施したサスペンションの走りも秀逸。それでいて、コンプリートカー価格はノーマルの約65万円高にとどめている。
ノーマルS660に関しては、ぼくは試乗会その他でずいぶん乗っていて、ノーマルでもシャシー性能は軽の水準を大きく突き抜けた高性能なものと認識していたが、モデューロ仕様のサスペンションはさらに当たりがしなやかになっていながら、リバウンド側がじっとり粘るしたたかな安定感がある。
今回の試乗コースは路面がきわめてスムーズだったため目立たなかったが、段差やアンジュレーションの多い一般道では、乗り心地のクォリティも向上している印象。実用性を損なわずどころか、日常の乗り心地性能を向上させつつ、限界近くまで攻め込んだときの挙動をビシッと安定させているのは素晴らしい。
参加したベストカーClubメンバーのコメントをみても、「足が素晴らしい」とか「吸い付くようなコーナリング」など、S660 Modulo Xはおしなべて高評価。足回りのキャパシティが高すぎて、逆にパワー不足を訴える声が目立つほどだった。
コメント
コメントの使い方