2019年5月24日から予約注文が開始され、2020年3月末までの期間限定モデルとして同年7月から発売となった、フェアレディZの生誕50周年を記念した限定モデル「フェアレディZ 50thアニバーサリー 」。
今回はそのフェアレディZ 50thアニバーサリーモデルを借りだし、1969年にデビューした初代S30型、240ZGオーナーである、モータージャーナリストの岩尾信哉氏が試乗!
240ZGと50thアニバーサリーモデルの両モデルを比較しながら、初代Zから、2008年12月にデビューした現行Z34型に至る、6代にわたって受け継がれた伝統、志はどう受け継がれているのか検証する。
文/岩尾信哉
写真/小河原 認
Zの50周年を祝う「BRE仕立て」

初代S30Zオーナーとしては、50周年と言われてもいまひとつ実感できないのだが、長い歴史をもつ数少ない日本車であることは確かだ。
Z32型の生産休止から2年後の2002年、Z33型は初代へのオマージュとともに復活を遂げた、世界で累計24万5000台を販売、日本では6年間で3万7000台を販売したというZ33型の存在価値は大きいといえる。
現行モデルであるZ34型ではZ33型からホイールベースを100mm短縮、エンジンフードやドアパネルのアルミ化などによって約100kgの軽量化を図ったうえで、可変バルブタイミング/リフト機構「VVEL」を装着したVQ37VHR V6エンジンを採用。
変速時のエンジン回転数調整を自動化した“シンクロレブコントロール機能をもつ6速MTとパドルシフト付き7速ATなどを与えて、よりスポーティさを強調する仕立てとなった。

2019年4月末にニューヨークショーの開催に合わせて初公開されたこの50thアニバーサリー。発表リリースにあるオマージュの対象と言われる「BRE DATSUN240Z」の「BRE」の名にピンと来るアメリカの「Z-Car」ファンも多いはずだ。
この「BRE」はアメリカレース界のレジェンドといえるピート・ブロックが興した「Brock Racing Enterprises」が呼び名の由来であり、1960~70年代に北米のSCCA(スポーツカー・クラブ・オブ・アメリカ)主催のモータースポーツ・シーンで活躍したことで知られる。
日産は「DATSUN」(ダッツン)ブランドとして、510ブルーバードとともに、“Zカー”として240Z、280Zを送り込んでいた経緯がある。

(画像ギャラリー)50年におよぶ歴代フェアレディZの変遷、240ZG、Z 50thアニバーサリーモデルの未公開ショット
もう少し“スペシャル”でもよかった!
Z 50thアニバーサリーモデル の仕立てをさらに見ていくと、白/赤と銀/黒のコンビネーションのカラーリングを用意。
そのうえで、フロントフェンダーにステッカー、リアには50周年記念を象徴するバッジを追加し、ホイールリムにレッドラインを追加した19インチアルミホイールを採用。
インテリアには、レーシングカーをイメージさせるセンターストライプを施したアルカンターラ表皮のステアリングホイールのほか、シートとシフトノブ周りやメーター内に50周年記念ロゴを配するなどの演出を施した。


この Z 50thアニバーサリーモデル は、2020年3月末までの期間限定モデルとしており、車両本体価格を458万8920円(6MT)~466万6680円(マニュアルモード付き7速AT)として2019年7月に発売となった。
ひと言で言うとこのモデルは、現行Zの標準仕様に「デコ・チューン」を施したもので、昨年発売された片山“イエロー”をボディカラーを基本とした「Heritage Edition」と同様の仕立てだ。
振り返って、35周年(Z33型)や40周年(Z34型)の特別仕様車には、エンジン/サスペンションなどに専用チューンが施されていたことを考えれば、トーンダウンしているのが残念だ。

