■実際走ってみてどうか?
試乗コースはドイツ ミュンヘンからGTIイベント(次号で紹介)の会場であるオーストリア ベルターゼーまで片道約400kmの道程。アウトバーンがほとんどだが途中、ワインディングコースを含む市街地でも試乗チェックした。
試乗車は110psのDCCおよびドライビングプロファイリング機能付きの6速MTと6速DSG。1台ともにオプションの115/40R18のBSポテンザS001が装着されていた。
6速DSG仕様で、はやる気持ちを抑えながらアウトバーンに入る。走行車線に入りアクセルをベタ踏みし、加速していく時にまず感じるのはボディの軽さだった。
6000~8000rpmまでの回転域が赤く塗られているのだが、タッチ画面でDCCモードをスポーツモードにすると、6800rpmという高回転域でシフトアップ。その瞬間「バフォ」という音圧の低いエキゾーストノートが響いてくる。これぞGTIだ!
しかし普通にアクセルを踏んでいるぶんには予想外に室内は静か。ゴルフVIIとなり、大幅にNVH性能が高められているからだろう。
乗り心地については適度に固いノーマルモードからコンフォートモードに変えてみると明らかに乗り心地がソフトになり、その差を感じるが、意外だったのはスポーツモード。
ジキルとハイドのように劇的に変わると想像していたのだがあくまでも快適性優先といった印象。しかし、レーンチェンジでの挙動の変化では、ビシッとボディに追従するスタビリティの高さが確認できた。
アウトバーンを降り、電子制御式ディファレンシャルロックXDS+を試そうと中速コーナーに進入してみる。プログレッシブステアリングのおかげで従来に比べ、進入時に楽にステアリング操作が行なえるばかりか、XDS+により、アンダーステアにならず、コーナーをぐいぐい切り込んでいけるのだった。
これは明らかにゴルフVIよりコーナリングスピードが上がっていると断言できる。しかも身のこなしは安定かつ俊敏だから、腕にあまり自信がないドライバーでもゴルフVII GTIに乗ると、うまくなったと錯覚してしまうかもしれない。
ただしこれはDCCありの場合。なしならどうか?
基本的にゴルフVII GTIの開発にあたってはDCCなしで、限界域までテストし、俊敏性や安定性など満足のいく結果が得られたというからDCCなしでも不安に駆られることはないだろう。
6速MT仕様は6速DSGほどの感動はなかった。というのもオルガン式から吊り下げ式に変更されたためか、アクセルペダルとブレーキペダルの間が広く、高さも違うためヒールアンドトゥがやりにくいのだ。
試乗車はほかに10psアップしたフロントディファレンシャルロック付きのパフォーマンスパックも用意されていた。標準車に比べ0→100km/hは0.1秒速い6.4秒、最高速度は4km/h速い150km/h。
GTIに試乗した後、もっとパワーがほしい、もっと劇的に足回りが固くならないのかと技術者に訴えていたのだが、GTIパフォーマンスパックを運転した途端、その思いは吹き飛んだ。こうした声に応えるためにパフォーマンスパックを設定したことがよくわかったからだ。
パフォーマンスパックに用意されるフロントディファレンシャルロックの出来を試せるほどのコーナーを攻めることはできなかったが、アウトバーンでのレーンチェンジではリバウンドが少なく、路面のざらつきを感じるほど明らかにハードな足回りだった。
冷静になって考えると、このパフォーマンスパッケージは限界性能を求めるワインディングやサーキットユース向けといっていい。
ゴルフGTIの日本導入時期は今年中に予定されている。導入グレードの詳細は決まっていないが、おそらく110psの6速DSG仕様になるだろう。
なんといっても家族からも不満の出ない走りの上質感と乗り心地のよさ。そしてピリリと刺激がほしい時に熱くなれるスポーツ性。それがゴルフVII GTIの最大の魅力だ。
刺激を忘れた大人にぜひ乗ってほしい1台だ。
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