■今夜は彼らのためにそっと献杯してやってください……最後にもう一度振り返りたい物故車2022
ホンダ NSX(2016~2022)…戒名:復活院殿鳴かず飛ばず清大姉/登場当時の2370万円という価格にたまげたNSX。まさかGT-Rがお安く感じるとは……/惜しいクルマをなくしましたね度:★★★☆☆
ホンダの伝説的スーパーカー・NSXが復活! と聞けば、クルマ好きなら誰でも興奮するが、登場したクルマを見て、興奮は急激に冷めて行った。理由は、カッコか、ハイブリッドか、それとも高すぎる値段なのか。日本だけでなく北米でもまったく人気が出ず、一度として盛り上がらないまま、わずか6年間の生涯を閉じることになった。戒名は、待望の復活を果たすも鳴かず飛ばずで終わった2代目を偲んだもの
ホンダ インサイト(2018~2022)…1.5Lハイブリッドエンジンを積みながら、上級のプリウス並みという高価格設定が敗因だった/戒名:洞察院誰も知らないセダン居士/惜しいクルマをなくしましたね度:★★☆☆☆
プリウスの対抗馬だった2代目から一転、3代目はアメリカンな中型ハイブリッドセダンとしてリボーン。しかしセダン市場がウルトラ縮小した日本ではまったく存在感を発揮できず、2018年の登場以来、「ほとんど見たことない」「見てもすぐ忘れてしまう」という影の薄い存在だった。日本に導入したこと自体が間違いだったことは確実で、消滅もやむなし。インサイトとは「洞察」の意味なれど、誰も知らないまま消えていく
日産 スカイラインHV(2014~2022)…ホームページでの「ハイブリッドモデルの販売終了」の告知もなく、ひっそりと姿を消した/戒名:地平線院殿北米メタボ大居士/惜しいクルマをなくしましたね度:★★☆☆☆
日本を代表する名車だが、そのうちハイブリッドモデルが今年消滅した。そもそもスカイラインがここまでメタボ化したのは、北米市場に引っ張られたせい。メタボなボディにハイブリッドを積むのは自己矛盾だった。400Rなどパワフルなガソリンモデルは、わずかながら人気が戻り、存続を許されたのが救いだ。しかし北米仕込みのメタボは治る見込みなし。スカイラインすなわち地平線も、そろそろ果てが近いのか
ホンダ CR-V(2018~2022)…新型ヴェゼルのほうが質感も価格面も優れ、身内にやられた格好だ。でも世界では売れている/戒名:グローバル院日本を除く大ヒット居士/惜しいクルマをなくしましたね度:★★☆☆☆
日本では値付けが高すぎたこともあってまったく売れていないが、グローバルでは、現在でも世界のトップ5に入るほどの大ヒットSUV。日本市場から退場しても、CR-Vにとっては痛くも痒くもない。日本人としては「このクルマのどこがそんなにいいの」という気がしないでもないが、とにかくCR-Vはホンダのグローバル商品。今後も日本を除く全世界での活躍を祈る! 戒名なんかいらないよ!
ホンダ S660(2015~2022)…軽規格+ミドシップ+6速MTという、二度と登場しないであろう攻めに攻めたパッケージングだった/戒名:世界最小スーパーカー院惜別大姉/惜しいクルマをなくしましたね度:★★★★★
S660は、世界最小のスーパーカーだった。本当に素晴らしく個性的なクルマだった。生産が終了したのは、法規に合わせるのが難しくなったからだが、S660は決して死なない! ビートのように、今後何十年もマニアに愛され続けることは確実だ。生産終了は惜しいし、残念としか言いようがないが、我々の心には永遠に生き続ける。S660は死んでないのだ! S660フォーエバー!