レヴォーグやステップワゴンなど、日本でもダウンサイジングターボエンジンが出始めてきた。そこで気になるのが最新の欧州ダウンサイジングターボに対する日本勢の実力だ。
昨年、日本でも発売開始したBMWとアウディの最新小排気量ターボ2モデルを比較試乗し、わかった国産ダウンサイジングターボの現在地とは?
文:国沢光宏
写真:奥隅圭之(BMW、アウディ)
初出:ベストカー2017年1月10日号
従来の2〜3L搭載車に欧州勢は1.5L以下のターボエンジンも採用
BMW318iとアウディA4 1.4TFSIは、ダウンサイジングターボの見本と言ってよかろう。
まず、A4もBMW3シリーズも「欧州Dセグメント」というジャンルに入る。日本車だとレガシィやアテンザと同じクラスをイメージしてもらえればOKだ。
このクラスでは日本車の場合、搭載されるエンジンはベーシックモデルで2L。一般的に2.5L前後となり、アメリカだと3L級のエンジンまで搭載される。
当然ながらA4や3シリーズも2~3L級のエンジンを搭載するモデルをラインアップするけれど、日本車に存在しないのが今回紹介する小排気量過給エンジンだ。
圧倒的な小型化を実現したアウディA4の1.4Lターボ
アウディA4に搭載されるのは小型&軽量1.4Lの4気筒ターボ。2Lモデルも4気筒ながら、比較すると1.4Lはエンジンの大きさそのものが圧倒的にコンパクト。加えて伝達トルクも小さくなるため、変速機まで軽い。
車重を調べてみたら、190psの2L、4気筒エンジンを積むA4が1580kgあるのに対し、1.4L、4気筒は1490kgしかない。
エンジンと変速機、さらにラジエターやターボなど補器類まですべて含めれば、車重差は90kgにもなるのだった。もっといえば、エンジンが小さくなることによりエンジンルームに余裕ができるため、歩行者と接触した時の評価まで改善される。
さらに、1シリンダーあたりの排気量が500ccある2L、4気筒と比べ、同じく350ccの4気筒はピストン重量が軽くなるのだろう。振動面で圧倒的に有利。1.4LのA4に乗ると、2Lエンジン搭載車より明らかに上質なエンジンフィールだったりする。
逆に失われるモノは40psと70Nmという出力とトルク。ただ、90kg軽くなることによる追い風もあり、乗っていて「遅さ」をまったく感じさせない。
マツダのエンジン親方である人見さんは「6気筒を4気筒にするなら効果あるが、4気筒同士のダウンサイジングなどありえない」と常々主張するけれど、A4を見ると「そんなことありませんぜ」と言いたくなります。
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