■狙いどおりにRSの6速MT車の走りは楽しい!
最新世代にアップデートされ、パワートレーンは4つに整理されたグレードに、あらかじめ最適な組み合わせが設定されているという感じ。
なかでも6速MTが与えられた鳴り物入りの「RS」は、期待どおりの楽しさだ。
カチカチと決まるシフトフィールも上々で、操作することそのものが楽しい! レブリミット7000回転のパワフルなエンジンを、よりダイレクトに味わうことができる。
フロアシフトではなくインパネシフトなのは、設計上でCVTとの両立を考慮してこうされたわけだが、自然に手を伸ばした位置にシフトがあるので操作しやすい。
聞いたところでは、シミュレーターを駆使してミリ単位で位置や操作性を煮詰めたらしく、その甲斐があったようだ。
欲をいうとターボエンジンがパワフルなのはよいものの、アクセルオフにした時の回転落ちが遅いのが少々気になる。
それはMTを楽しむうえでは大事なポイント。もう少し早いとなおよかったように思う。
かたや専用セッティングが施されたRSのCVTはSレンジでのアクセル操作への反応が高められていて、これまた気持ちよく走れる。
エンジントルクのおいしいところを巧くつないで瞬時に引き出してくれるので、楽しくて乗りやすい。
一方の自然吸気も、むろん性能的にはターボと比べるべくもないが、他社の自然吸気と比べると力感では上回る印象を受ける。
それに、他社ではターボラグがあり低回転域が乗りにくいので、市街地の日常使いがメインなら自然吸気のほうが適するというケースも多いが、ホンダの場合はターボもレスポンスがよくて充分に乗りやすい。
ようするにホンダの最新版はターボと自然吸気のどちらも優れているわけだ。
■専用チューニングされた足でキビキビ走る!
もともとよくできていたフットワーク全般も、新型は輪をかけてよくなった。
剛性感が高く、足回りが理想的に仕事をこなしている感覚が伝わってきて、4輪が踏ん張る力が高まっている。
やはり第2世代のNシリーズのプラットフォームの実力はハンパない。振動やノイズもよく抑え込まれている。
先発のN-WGNとはスプリングが基本的に共通で、ダンパーやスタビは各グレード個別にふさわしく味つけされている。
そして全体としては、乗り心地の快適さが身上のN-WGNに対し、N-ONEはかなり走りを意識したことがうかがえた。
ロールーフゆえ上屋が軽く重心が低いという強みに加えて、キャラ的にも走りをアピールしたいのはいうまでもない。
スポーティなチューニングの施されたRSは、よりキビキビとした一体感のある走りを楽しめる。電動パワステの操舵フィールにもしっかり感がある。
それでいて思ったよりも乗り心地がよい。これにはN-WGNより導入した横力キャンセルスプリングも効いているに違いなく、突き上げが小さい。
安全装備では、後方誤発進抑制機能やオートハイビームを加えたホンダセンシングが全車標準装備されたのが新しい。
今回はACCとLKASを都市高速で試し、その優れた制御の恩恵をあらためて実感した。
いやー、ヨカッタヨカッタ。まさに期待どおり。デザインはタイムレスで中身はしっかり進化。
これぞN-OENファンが待ち望んでいた次期N-OENの姿そのものだ。
●ホンダ N-ONE RS (FF) 主要諸元 ※〈〉内はプレミアム(FF)
・全長×全幅×全高:3395×1475×1545mm
・ホイールベース:2520mm
・最小回転半径:4.8m〈4.5m〉
・車両重量:860kg〈840kg〉
・エンジン:直3DOHCターボ〈直3DOHC〉
・排気量:658cc〈658cc〉
・最高出力:64ps/6000rpm〈58ps/7300rpm〉
・最大トルク:10.6kgm/2600rpm〈6.6kgm/4800rpm〉
・トランスミッション:6MT〈CVT〉
・サスペンション 前/後:ストラット/車軸式〈ストラット/車軸式〉
・WLTCモード燃費:21.6km/L〈23.0km/L〉
・価格:199万9800円〈177万9800円〉
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