11月9日、新型スペーシアが満を持して発売となった。新型スペーシア最大のウリはなんといっても、後席に設けられたオットマンだろう。実際にそのオットマンを体験してきたので報告しよう。はたしてこれがあるおかげでN-BOXを抜くことができるか?
文/ベストカーWeb編集部、写真/奥隅圭之
■開発当初は荷物ストッパーモードだけだった!
11月9日に発表となった新型スペーシア。その進化ぶりに驚かされるが、注目はなんといってもオットマン。足をのせて伸ばしくつろぐことができる、ミニバンの2列目キャプテンシートに用意されるあの快適装備が設定されたのだ。
カウチソファとまではいかないものの、リクライニング機構と合わせ、シートから足を落とすことなく、足を伸ばし、支えられた状態での着座姿勢、リラックス感が得られる。
オットマンが設定されているのは、アルファード&ヴェルファイアやエルグランドの上級グレードにしか用意されていなかったが、最近ではノア&ヴォクシーやステップワゴンにも採用され、高級ミニバンだけの装備ではなくなってきたと思っていたら、なんと、軽自動車の新型スペーシアがオットマンを採用してきたからタマげた。
新型スペーシアに設定されたオットマンは正式には「マルチユースフラップ」と呼ばれ、エントリーモデルのハイブリッドG(153万100円)、スペーシアカスタムGS(180万1800円)を除く、ハイブリッドG(FF:170万5000円)、カスタムXS(199万5400円)、カスタムXSターボ(207万3500円)に標準装備。
座面の横にあるボタンを押してフラップを引っ張れば、「レッグサポートモード」、「オットマンモード」、「荷物ストッパーモード」の3つのモードを使うことができる。
スペーシアの商品企画担当者によれば、開発当初は高級ミニバンのようにオットマンありきで開発されたのではなく、後席に荷物を置いた時に足元のフロアに落ちないようにというユーザーからの声が多かったため、荷物ストッパーモードを開発することから始まったそうだ。
ただし、この荷物ストッパーモードだけではもったいないということで他になにかできないかと社内で検討していくうちにレッグサポートモードやオットマンモードのアイデアが生まれたそうだ。
■さっそくマルチユースフラップを使ってみた
さっそく、座面横にあるボタンを押してシートフラップを膝裏の部分に押し当ててみた。靴底がしっかりフロアに固定され、足と体全体が安定した体勢になることができた。
たしかにスーパーハイトワゴンの場合、ルーフが高く、足元空間は広々としていて安定しないことが多い。特にアシストグリップに手が届かない場合や長時間握っている場合は疲れてしまうこともある。そうした声を聞いて採用したのがこのレッグサポートモードなのだ。
足元スペースが広すぎて足の置き場所がないと感じることもあった軽スーパーハイトワゴンだが、これでしっかり足を固定することができるので、落ち着いた気持ちになる。ちなみにこのレッグサポートモードは走行中に行うといい。
続いて、本命のオットマンモード。シート横のボタンを押してシートフラップを伸ばせばオットマンモードになる。ただし、ノア&ヴォクシーのオットマンと比べると、当然といえば当然だが、シートフラップが短く小さいので、「快適、快適」というほどのものではなかった。まあ、期待値が高かったせいもあるが……。
ただし、オットマンが軽に付いているということだけでも価値がある。後席は左右独立でシートスライドやリクライニングできるほか、後席アームレストや前席の背もたれ後ろにはパーソナルテーブル、さらにはタイプAとタイプCのUSB電源ソケット、天井にはエアコンが後席まで効くようにしたサーキュレーター、ロールサンェードまで備わっていて、まさに至れり尽くせりの状態。
筆者がスペーシアを購入したとしたら、パーソナルテーブルにパソコンを置いてリモートワークをして、疲れたらオットマンモードにして仮眠をとる、そんな快適な生活を送るのでは、と思う。
そして、マルチユースフラップ開発の発端となった荷物ストッパーモード。後席に置いた荷物がブレーキなどのショックで落下しないようにフラップを上に向けるだけ。
これはヴィッツやヤリスの助手席に用意された買い物アシストシートを思い出す。座面前方下にあるついたてを引き上げれば前に転げ落ちない秀逸の装備だったが、これが新型スペーシアにも採用されたというのは嬉しい。
筆者もスーパーで買った買い物袋を足元のフロアに置くのはいつもはばかれるため、後席のシート座面に置いているのだが、たいていはいつのまにか下に落ちてしまっている。
普段の生活に密着した便利装備をめいっぱい装備したスペーシアは、まさに庶民の味方!
このマルチユースフラップがN-BOXを超える最終兵器になりうるかも、といっておこう。
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