キューブ、ジューク、ティアナなど日産車が年内までに相次いで生産終了!
最近は多くのユーザーに愛用された伝統ある車種が、次々と生産や販売を終了している。トヨタの場合、上級ミニバンのエスティマや、マークII時代と合わせて50年以上の歴史を持つマークXも年内に終了する。三菱はSUV市場の基礎を築いたパジェロの国内販売を終えた。
そして、日産ではキューブ、ジューク、ティアナの国内販売を終了する。時代に合わなくなった車や不振が続く車を廃止するのは、どのメーカーでもやっていることだが、とりわけ日産に関しては上記3台が同時期に廃止され、この他にも長年モデルチェンジされていない車種があるなど異例の事態となっている。
なぜ、日産は国内向けモデルを相次いで生産中止させているのか? 同じく車種整理を明言しているトヨタとの違いも含めて見ていきたい。
文:渡辺陽一郎
写真:編集部、NISSAN
【画像ギャラリー】3車以外にも多数!! 2000年以降に消滅した日産車
キューブとジューク、ティアナの計3車種が相次いで生産終了
キューブは背の高い居住性の優れたコンパクトカーで、1998年に発売された初代モデルは、このタイプの先駆けになった。
2002年に登場した2代目は、角に丸みを付けた水平基調のボディが注目され、2003~2004年には1か月平均で1万1000台以上を登録している。今のノートを上まわる売れ行きだった。
現行キューブは2008年に発売され、和風をモチーフにした優しい雰囲気の内装が特徴だ。日本のユーザーの趣味性に合った商品だから、緊急自動ブレーキの装着など、改良を加えれば今後も堅調に販売できるだろう。廃止はとても残念だ。
ジュークは全長が4m少々のコンパクトSUVで、海外仕様はすでに新型にフルモデルチェンジした。国内仕様のジュークは廃止するが、その代わりにコンパクトSUVのキックスを2020年に発売する。
新型ジュークのエンジンは直列3気筒1Lターボだが、キックスは直列4気筒1.5Lや1.6Lだから、国内市場に馴染みやすい。1.6Lはターボになり、1.2Lエンジンベースのe-POWERも搭載する見込みだ。
ティアナは、以前のセフィーロの後継となるLサイズセダンで、広い室内とリラックスできる内装が特徴だ。Lサイズセダンには豪華さが求められるが、ティアナは全般的に地味で売れ行きを低迷させた。それでもほかのLサイズセダンとは違う独自の個性を備える。
以上のように前述の3車種は、日産にとって大切な商品だが、販売を終えることになった。
なぜ日本だけ!? 日産車の生産終了が相次ぐ2つの理由
終了する背景には、2つの理由がある。まずは日産にとって、国内市場の優先順位が下がったことだ。
日産の世界販売台数に占める国内比率は、軽自動車を含めて12%にとどまる(2019年1~10月累計)。今はダイハツを除くと大半の日本メーカーが20%以下だが、日産は特に国内比率が低く、商品開発も軽視される傾向が強い。
この影響により、今では基本設計の古い日産車が増えた。フーガ、マーチ、エルグランド、生産を終えるキューブやジュークは、いずれも2010年までに発売されている。
これに販売台数の少ないスポーツカーのGT-RやフェアレディZも加わるから、大半の車種が発売から9年以上を経過する。
逆に堅調に売れる車種は限られ、デイズ+デイズルークス+ノート+セレナを合計すると、国内で売られる日産車の70%近くに達する。
そのためにノートやセレナは小型/普通車市場でトップ水準の売れ行きなのに、メーカー別の販売順位は、トヨタ、ホンダ、スズキ、ダイハツに次ぐ5位まで下がってしまう。
要は国内の優先順位が下がったことで、新型車の投入や安全装備の改良が滞り、売れ行きがさらに低迷する悪循環に陥った。この流れで、キューブ、ジューク、ティアナも廃止される。
コメント
コメントの使い方