後方視界悪い車 増える背景に「技術の進化」
その理由はデザインにあることは間違いない。どんなに車の中身が良くても、普遍的なデザインでは、ヒットさせることは難しい。
流麗なデザインで、格好良くて、他車とはひと味違う形にして魅力を最大限アピールしたい。車を売らなければならない自動車メーカーとしては、そうした思惑が働くのは、ある意味当然であろう。
そこへ、「後方視界をモニターに映し出すカメラ技術」が普及し始めたことが後押しをしたのだ。
このような状況を受け、平成27年度(2015年)には、死角が生じるために事故の危険性が高まる「バックでの発進と駐車時」に、ドライバーが直接確認することが困難な後方の視界情報を、車内モニターに映し出す装置(バックビューモニタ)の安全性能評価が、JNCAP(自動車アセスメント)で新たに始まった。
6点満点での評価とし、ここでの評価を各自動車メーカーは、その車の魅力として「最高評価を獲得!」といった感じでセールスコピーとしているが、ここには課題がある。
標準装備かオプション設定かもわかるように開示はされているのだが、バックビューモニターがオプション装備の場合、装備していないグレードの評価はされていない(リザルトに書かれていない)、という点だ。
安全パッケージが付いた上級グレードでOKならばよい、という判断は間違いだと思う。ここはアメリカのコンシューマーリポートのように、「最量販グレード」で評価をすべきだと筆者は考える。
メーカーにより「目視による後方視界」の考え方にも格差
バックビューカメラを標準装備して後方視界をカバーするメーカーがある。昨今デザイン重視の車作りをしているマツダだ。
マツダの場合、全車バックビューモニターは標準装備としており(※さらにはメーカーオプションで360度ビューモニターも設定されている)、廉価グレードであってもバックビューカメラによる安全確保を徹底している。
これに対して、「目視による後方視界」を大切にしているクルマもある。ここ最近の事例だと、スバル フォレスターやトヨタ RAV4、カローラセダン、ロッキーやライズは、後方視界がよく確保されているように感じた。
カメラやセンサーでサポートをするテクノロジーはありがたいが、人間の目視には、カメラには代えられない「特別な嗅覚」があるように思う。
筆者としては、目視は重要視していただきたいと考える。
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