復活&首位奪還したRAV4の勝因と競合相手に足りないもの  

 最近はSUVが好調に売れているが、このなかでも特に登録台数の多い車種がRAV4だ。

 2019年4月の発売以来、1か月当たり5000~7000台を保ちながら推移。5月から10月まで6か月連続でSUV販売1位を獲得し、11~12月もライズに続く2位で、ミドルクラスでは依然、No.1を維持している。

 しかし、RAV4は2016年に日本国内では生産を終え、2019年4月に復活したモデル。そうした意味では、ここまで人気を集めている現状は、当時RAV4以上に売れていたライバルにとっても予想以上の事態といえるだろう。

 そして、かつてSUV販売No.1に輝いた日産 エクストレイルやマツダ CX-5は、復活したRAV4に勝てない状況が続いている。

 激戦区のミドルSUVで、RAV4に対してライバルは「何か」が足りないのか? 足りないとすれば、それは何なのか?

文:渡辺陽一郎
写真:編集部

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RAV4はキャラ変&明確化で復活果たす

トヨタ RAV4/全長×全幅×全高:4600×1855×1685mm、2019年12月販売台数:5759台、価格帯:265万6500-388万8500円

 RAV4復活の理由はSUVの高人気だ。ハリアーやC-HRも順調に売れて、他メーカーのヴェゼルやCX-5も注目されている。そこでSUVの品ぞろえをさらに増やそうと考えた。同様の理由で、CR-Vも一度国内販売を終えながら復活している。

 2つ目の理由はRAV4の商品力だ。

 生産を終えた3代目では、外観や機能が典型的なシティ派SUVになり、背の高いワゴンのように見えた。それが復活した5代目では、前輪駆動ベースのSUVという位置付けは同じながら、フロントマスクや直線基調のボディはオフロードSUV風だ。

 4WDシステムも悪路指向を強め、SUVの原点回帰を思わせる方向に発展した。ランドクルーザープラドに近付いたともいえるだろう。

 このようにRAV4がハリアーやC-HRとは異なるSUVに発展したことで、新たなユーザーの獲得も可能になり、日本での復活を果たした。

 それにしてもRAV4の売れ筋価格帯は320~350万円なので、高価格の割に販売は好調だ。そこでライバル車がRAV4に販売面で負けている理由、足りない魅力について考えたい。

競合CX-5は“同士討ち”で新鮮味も薄れ気味

マツダ CX-5/全長×全幅×全高:4545×1840×1690mm、2019年12月販売台数:912台、価格帯:261万8000-365万7500円

 まず、CX-5はSUVの人気車として注目され、今でもマツダ車では中堅水準の売れ行きだ。2.2Lディーゼルターボエンジンは実用回転域の駆動力が高く、燃費も優れ、CX-5の魅力になっている。

 それでも2019年の登録台数は月平均で約2600台だから、RAV4の半分以下だ。その背景にはまず需要がある程度満たされたことが挙げられる。

 現行CX-5は2016年に登場した2代目だが、車両の性格は2012年に発売された初代CX-5を踏襲しており、8年前に初代が発売された時に比べて新鮮味が薄れた。

 さらに2017年にはCX-5よりもひとまわり大きなCX-8が発売され、2019年にはコンパクトなCX-30もデビューした。

 2019年におけるマツダの国内販売台数は約20万台で、トヨタは155万台だから、マツダはトヨタの約13%だ。この販売規模でマツダがSUVを4車種そろえると、売れ行きが分散してしまう。

 しかもCX-5とCX-8はデザインや雰囲気が似ており、CX-3とCX-30はボディサイズと居住性が近い。マツダのSUV同士が需要を奪い合っている事情もある。

 その点でRAV4はオフロードSUVを思わせる個性があり、2Lエンジンの動力性能はCX-5のディーゼルに大きく劣るが、操舵感は機敏で安定性も優れている。RAV4はデザインと走りがスポーティな印象で、注目を浴びやすい。

エクストレイルはモデル末期で外観もインパクト不足

日産 エクストレイル/全長×全幅×全高:4690×1820×1740mm、2019年12月販売台数:1753台、価格帯:304万5000-375万6500円

 エクストレイルは、ロックモードを備えた4WD、防水加工を施したシート、汚れを落としやすい荷室など、以前からオフロードSUVに通じる特徴を備えていた。RAV4に似たところも見受けられる。

 そのために2013年12月に登場した直後は好調に売れて、1か月に5000台前後を販売した。その後も売れ行きをあまり落とさず、2018年の1か月平均も約4200台に達する。

 最近の日産は新型車の発売が滞り、売れ筋車種が大幅に減ったからエクストレイルは貴重な存在だ。販売にも力を入れているが、2019年になると、さすがに平均約3000台まで下がった。

 エクストレイルの商品力をRAV4と比べると、今では外観のインパクトが乏しい。ボディサイズはエクストレイルも全長が4690mm、全幅が1820mmと大柄だが、フロントマスクなどが大人しく見える。

 また、RAV4には、後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させるダイナミックトルクベクタリングAWDもあり、メカニズムでも説得力が強い。

 一方、エクストレイルは、衝突被害軽減ブレーキも物足りなかったが、2020年1月のマイナーチェンジで、単眼カメラのほかにミリ波レーダーも併用する新しいタイプに進化した。商品力を高めて、今後もしばらくは現行型を売り続ける。

フォレスターは優等生的で数を追わず

スバル フォレスター/全長×全幅×全高:4625×1815×1715mm、2019年12月販売台数:1428台、価格帯:286万-315万7000円

 フォレスターもRAV4のライバルになり得るミドルサイズSUVだ。現行型の発売は2018年で、2019年の登録台数は1か月平均で約2700台だ。

 エクストレイルよりも少ないが、スバルはディーラー数も全国で約460店舗にとどまる。RAV4を扱う計約3000店舗、エクストレイルを売る日産の約2100店舗に比べると大幅に少ない。逆に1店舗当たりの売れ行きはフォレスターが最も多い。

 車両の性格も異なる。フォレスターは水平対向4気筒エンジンと独自の4WDによって、全高が1700mmを超えるSUVでありながら走行安定性が優れている。カーブを曲がる時の挙動も適度に軽快だ。エンジン排気量は2.5Lが中心で余裕を持たせ、乗降性や視界なども含めて使い勝手が良い。

 機能は全般的に優れているが、逆に見れば優等生的で、RAV4に比べて印象に残りにくい。これはスバル車全体に共通する安全思想の表現でもある。デザインや運転感覚に目立った特徴があると、それが起因して視界を損なったり、運転の集中力を削がれたりする。

 スバル車はどれも扱いやすく、運転中のドライバーの情緒を穏やかにするクルマ作りをしているため、しばしば優等生的で退屈に受け取られやすい。

 その意味でスバルは身の丈に合った商売をしている。販売網を抑え、台数を追わず、スバルの考える理想のクルマ作りを追求している。マツダのCX-5にも当てはまる話だが、販売面でRAV4に負けるのを承知で開発をしているともいえるだろう。

CR-Vは「価格の高さ」ネックに

ホンダ CR-V/全長×全幅×全高:4605×1855×1690mm、2019年12月販売台数:394台、価格帯:329万100-444万1800円

 CR-Vは先に述べた通り、一度国内販売を終了して海外専用車になりながら、現行型で国内販売を復活させた。SUVが予想以上の人気カテゴリーになり、ホンダとしてはコンパクトなヴェゼルだけでは、オデッセイなどLサイズモデルからの乗り替えに対応できないと考えたからだ。

 ただし、CR-Vの売れ行きは伸び悩む。月販目標台数を1200台としたが、2019年の月販平均は1100台以下だ。発売の翌年から目標をクリアできないと、今後の展開が辛くなる。

 今のホンダではN-BOXが過剰に売られ、国内で販売されるホンダ車の35%を占める。軽自動車の比率は50%を超える。そうなるとCR-Vの販売力は大幅に下がってしまう。

 加えてCR-Vは価格も高い。カーナビなどを標準装着したとはいえ、1.5Lガソリンターボが350~370万円、ハイブリッドは380~400万円だ。

 これだけの高価格車なのに、内装の質が低い。例えばインパネに使われるステッチ(縫い目)は、コンパクトなヴェゼルでも本物の糸を使うのに、CR-Vは模造品だ。居住性や走行性能は悪くないが、350~400万円のクルマとしては作りが粗く、売れなくて当然と納得させる。

◆  ◆  ◆

 以上のようにRAV4は、最近のライバル車が忘れかけていた野性味を備え、運転感覚も楽しく、居住性や質感も相応に高いことで売れ行きを伸ばした。

 ただし、趣味性が強いので、C-HRのように需要が早期に満たされて売れ行きを下げる可能性も高い。

 RAV4が今後息の長い需要を維持できるのか、この動向はこれからの車両開発にも少なからず影響を与えるだろう。

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