現代のクルマには、慣らし運転は必要ないとよく言われているが、本当なのだろうか?
さらに、モーターとエンジンの両方を使うハイブリッドやモーターのみを使うEVには、慣らし運転は必要なのだろうか?
そもそもエンジン車だから必要なのか? 発電用として使われるエンジンやモーターも慣らし運転を行わなければいけないのだろうか?
本企画では、ハイブリッドやEVなど最新車の慣らし運転はどうすればいいのか、自動車テクノロジーライターの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/ベストカーWeb編集部
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現代のクルマに慣らし運転は必要か?
「現代のクルマのエンジン部品は非常に高い精度で作られていて、エンジンオイルも低粘度、すなわち油膜が薄いため、慣らし運転は必要ない」というのが慣らし不要派の代表的な意見だ。
これに対し「新車は試運転程度の走行しかしていないし、昔よりエンジンや変速機は複雑で高度になっているので、初期の馴染みを丁寧にしてやった方が良い状態が長持ちする」というのが慣らし必要派の意見である。
これは「どちらも間違ってはいない」というのを結論としたい。というのも昔と違い、工業製品は精密で高度になっただけでなく、それにまつわる情報も豊富で、様々な手段で情報が発信、伝達されている。
メーカーが自社製品の仕上がりに自信があることをアピールするためには、慣らし運転は不要と謳うケースもあるだろう。
その一方で、メンテナンスフリーではなくメンテナンスパックでユーザーの囲い込みをしているブランドは、クルマの扱い方もユーザーにティーチングすることで慣らし運転の重要性を説くこともある。
各自動車メーカーの慣らし運転に対する見解の違い
以下、各自動車メーカーの公式ホームページなどで、慣らし運転が必要かというユーザーからの質問に対して、見解を見ることができる。
トヨタ、ホンダ、三菱、スズキは「慣らし運転は必要ありません」と回答している。
トヨタの見解は、「慣らし運転の必要はありません。ごく一般的な安全運転に心がけていただければ、各部品のなじみは自然と出てきます。お客様が新しいクルマに慣れるまでの期間を慣らし運転の期間と考えてください」。
※トヨタの慣らし運転に関する見解が掲載されているホームページ
ホンダは、「現在のクルマは、エンジンやその他の部品精度が向上しているため、慣らし運転を行う必要はありません。ただし、機械の性能保持と寿命を延ばす為には以下の期間はエンジンや駆動系の保護の為に、急激なアクセル操作や急発進をできるだけ避けて下さい。
・取扱説明書に慣らし運転期間の記載がある場合→その期間
・取扱説明書に慣らし運転期間の記載が無い場合→1000km走行までを慣らし運転の期間。としている。
※ホンダの慣らし運転の見解が掲載されているホームページ
日産は、「エンジン車には一般的には、エンジン本体や駆動系など、車の性能を十分に引き出すためには慣らし運転は必要です。走行距離1600km~2000kmまでは、適度な車速、エンジン回転数で運転してください」。
※日産の慣らし運転に関する見解が掲載されているホームページ
一方、e-POWERに関しては、「VCM(車両制御モジュール)によって最適にエンジンをコントロールしていますので慣らし運転は必要ありません。ただし、安全や環境をいたわるためにも、急加速などの無理なアクセル操作を控えることをお奨めします」と回答している。
※e-POWERの慣らし運転に関する見解が掲載されている日産のホームページ
スバルは公式ホームページなどで慣らし運転に関する公式な見解はないが、スバル各車の取扱説明書には次の通り明記されている。「1000kmまでの距離を目安にエンジンの回転数は4000回転以下に抑えて運転してください」と明記している。
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