ハイブリッドとガソリンの実質価格差は30万円
次は買い得グレードのG同士で、1.5Lとハイブリッドの損得勘定を比べる。ハイブリッドGの価格は213万円、1.5LノーマルエンジンのGは175万6000円だから、ハイブリッドGが37万4000円高い。
ただしハイブリッドGは、1.5LノーマルエンジンのGでは1万6500円でオプションになるバックガイドモニターなどを標準装着する。一部の装備が上級化されるので、この金額を差し引いたハイブリッドの正味価格は約35万円に収まる。
購入時に納める環境性能割と、自動車重量税も異なる。Gではこの2つの税額を合計すると5万3300円だが、ハイブリッドGは非課税だから、この金額も差し引く。最終的な実質差額は30万円と考えていい。
コンパクトカーは燃料代で差額を埋めるのが難しい
次は実質差額の30万円を燃料代の節約によって取り戻せる距離を計算する。
現時点で算出に悩むのはガソリン価格だ。新型コロナウイルスの影響で、2020年4月下旬におけるレギュラーガソリンの平均価格は1L当たり130円まで下がったが、この価格は特殊だ。
そこで影響が生じる前の1L当たり145円で計算する。実用燃費はWLTCモードと考える。
そうすると1km走行当たりの燃料代は、Gが6.8円、ハイブリッドGは4.1円だ。ハイブリッドでは1km当たり2.7円の節約が可能で、30万円の実質差額を燃料代の節約で取り戻せるのは、11万kmを走った頃になる。
ちなみに車種によっては、ハイブリッドの実質差額を4万~6万kmで取り戻せるが、ヤリスのようなコンパクトカーは、ノーマルエンジンの燃費も良好だ。
この30万円という差額は、コンパクトカーにとっては大金だから、取り戻せる距離も10万kmを超えることが多い。
年間走行距離が2.5万kmを超えるか否かが分岐点
表現を変えると、ハイブリッドの経済効率は、ボディが重くノーマルエンジンの燃費が悪い車種ほど優れているわけだ。そのためにクラウンでは販売総数の80%がハイブリッドで、レクサスISも70%に達する。
これらの車種では、実質差額が4万~6万kmを走れば取り戻され、ハイブリッドは数年後に売却する時の条件もいいからハイブリッド比率が高まった。
逆にコンパクトカーでは、ハイブリッドが人気を得にくい。仮に発売直後に販売比率が増えても、時間の経過に伴って下がってくる。
ヤリスでは、ノーマルエンジンを1Lと1.5Lの2種類にしたから、発売直後でもハイブリッド比率は45%にとどまる。
ヤリスのハイブリッドとノーマルエンジンの損得勘定を客観的に判断すると、1年間の走行距離が1.5万kmを超えるか否かが選択の分かれ目だ。
1年間に1.5万kmを走れば、7~8年で11万kmを走行できるから、実質差額が取り戻されて最終的に出費を節約できる。
しかし1年間の走行距離が7000kmでは、取り戻すまでに15年かかり、13年とされる乗用車の平均使用年数(平均寿命)を上まわってしまう。
そうなると燃料代の節約で実質差額を取り戻せない可能性が高い。1年間の走行距離が1.5万km以上ならハイブリッドを選ぶ余地があり、それ以下ならノーマルエンジンが経済的という判断が成り立つ。
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