4月にマイナーチェンジが行われた、三菱自動車の世界戦略車「ミラージュ」。
ダイナミックシールドに基づくフロントフェイスへの変更や先進安全技術が追加されるなど、かなり大幅な改良が加えられた改良新型のミラージュであるが、実はこのモデル、昨年11月に世界初公開されており、生産工場のあるタイでは、すでに販売されている。
そのモデルがこの度、日本市場にも導入、となったわけだ。
現行型ミラージュのデビューは2012年8月、すでに8年目も終わろうとしており、販売台数も月販3桁と沈んだ状態。
この度のマイナーチェンジで、老舗のブランドを復活させたい、という三菱の意気込みは感じとれるが、なぜ、8年目にもなって、ミラージュはマイナーチェンジとなったのだろうか。
文:吉川賢一、写真:三菱
【画像ギャラリー】8年ぶりにマイナーチェンジした三菱ミラージュをみる!!
8年目にしてマイナーチェンジをした理由
現行型ミラージュは6代目にあたり、タイで生産され世界各国へ輸出されている、三菱の大事なグローバルコンパクトカーだ。
日本では、ミラージュはやや地味な存在だが、アメリカやアジアの新興国など、世界各国では、エントリーカーとして、人気を得ている。
日本市場における三菱のラインアップで、ダイナミックシールドのデザインコンセプトに沿ったフロントフェイスになっていなかったのは、ミラージュのほかに、デリカD:2(※スズキソリオのOEM)、i-MiEV、タウンボックス、そして軽商用車などの、ごくわずかであった。
そのため、量販コンパクトカーであるミラージュも、せめてマイナーチェンジをして、ダイナミックシールド顔に統一し、ブランドの統一感を出したい、という思いがあったのは間違いない。
しかし、今回マイナーチェンジとなったのには、他の理由もある。
クルマの完成度が高くマイナーチェンジでも競争力を保てるため
ミラージュは、もともと非常に高いポテンシャルを持っている。ボディサイズは全長3795mm×全幅1665mm×全高1505mmと小さく、車重は900kgと超軽量。ヤリス最軽量モデルより40kgも軽い。
また、1.2リットル3気筒ガソリンエンジンはWLTCモード燃費20.0km/Lを達成しており、ヤリス(ガソリン2WD X:WLTC燃費 21.6km/L)や、フィット(ガソリン2WD BASIC:WLTC燃費 20.4km/L)といった最新コンパクトカーとも戦える環境性能をも、兼ね備えている。
このようにミラージュは、もともとクルマの完成度が高く、マイナーチェンジでも十分競争力があるため、今回はマイナーチェンジで十分だ、と三菱は判断したと、筆者は考えている。
今回のマイナーチェンジでミラージュは、弱点であった先進安全技術系も充実させた。クルーズコントロールを搭載し、衝突被害軽減ブレーキシステムに歩行者検知機能を追加するとともに、前方車両に対する作動速度を約5~30km/hから約5~80km/hへと拡大し、安全性を高めた。
また、車線逸脱警報システムやオートマチックハイビームも標準化され、商品力が高まっている。とはいえ、最新の追従機能付きクルーズコントロールや、レーントレースコントロールといった先進システムは装備されておらず、まだ追加対策の余地はある。
このあたりは次回のモデルチェンジ、もしくはマイナーチェンジで、日産のプロパイロット(ミツビシ版はMIパイロット)の搭載を期待したいところだ。
コメント
コメントの使い方