レクサスの旗艦(フラッグシップ)として1989年にLSが誕生してから、31年目に入った。現行のLSは、2017年にフルモデルチェンジを受けた5代目となる。
国内ではセルシオの名でトヨタから販売されてきた3代目までは、国産車や米国でのモデルチェンジ期間を踏襲したためか、5~6年でのフルモデルチェンジだった。
しかし、前型から現行車へは11年を経てのフルモデルチェンジとなるが、前型の途中で大幅な改良を行っている。
欧州車も、毎年進化を続けながら、約8年のモデルチェンジ期間の半ばあたりで大きく改良されることがある。
いつ変更されるか気になっていたLSだが、マイナーチェンジを受けた新型モデルが2020年7月8日に世界初公開された。
マイナーチェンジは、エクステリアデザイン、インテリアデザインの変更によりリフレッシュして商品力をたけめているのだが、それ以上に注目なのが、新たな自動運転技術が盛り込まれていることだろう。
具体的には自動車専用道路での周辺認識、自車位置推定、走行車線・位置選択、速度調整などを行いながら出口までの安全な運転支援を行うというものだ。
待望のリフレッシュはされることが判明したが、そもそもレクサスLSは欧州の古豪、手強いライバルを相手に世界で戦えるのだろうか?
文:御堀直嗣/写真:LEXUS、JAGUAR LAND ROVER、MERCEDES-BENZ、BMW、TESLA
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現行LSは欧州プレミアムに比肩する貫禄
現行のLSでまず目を引いたのは、車体の大型化であった。全長は、前型のロングホイールベース仕様と同等で、全幅は1900mmに広がった。
前型と並べて見比べたとき、かつてのセルシオとクラウンを比べるかのように、ひと目で大きさの違いがわかるほどだ。
現行の車体寸法は、競合となるドイツのメルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズ、あるいは英国ジャガーXJのロングホイールベース仕様と真っ向勝負する貫禄だ。
そこに、30年超の歴史を積み重ねたLSの強い意志を感じさせる。
つまり、米国でレクサスの展開を開始したように、当初は米国消費者に向けて、キャデラックやリンカーンなどとは違った日本発の価値観を備える新しい高級車像を追い求めてきたはずだ。
なかでも、初代の静粛性や振動の少ない乗り心地は、消費者のみならず米国の自動車メーカーを驚かせたのではないか。V型エンジンの上にカクテルグラスを置いて、振動の少なさを見せた映像は、今なお記憶に残る。
その後欧州へも進出するに至り、高い走行性能を含めた欧州プレミアムブランドに挑む姿が次第に重なるようになる。それでもドイツのメーカーは、伝統ある永い歴史(ヘリテイジ)がプレミアムの証だと考えてきた。
いっぽうで、英国ではテレビドラマのなかに富裕層の証としてLSが登場するなど、評価は得てきたと感じる。
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