アライアンス以外の三菱自の新たな協業は興味深い
そんな中、自動車各社の決算が出そろい、夏季休暇に入る直前の2020年8月7日、その資本関係に微妙な変化をもたらしかねないトップ人事が飛び込んできた。
三菱商事の出身で、三菱自で約16年にわたって経営を率いた益子修会長が、健康上の理由で会長職を突如辞任した。
時期が時期だけに「敵前逃亡」とかの憶測も飛び交い、唐突のようにも思えたが、2019年6月、CEO職を生え抜きの加藤隆雄氏に譲った頃から、引き際を模索していたとみられる。
古希の70歳を過ぎ、ここ数年はストレスが重なり宴席でもアルコールを控えるなど体調も万全ではなかった。
当初5月に予定していた中期経営計画の発表がコロナの影響で7月末にずれ込んだことからも、このタイミングで治療に専念するために経営の一線から身を引く決意を示したようだ。
その三菱自が発表した中期経営計画では前述したように「不退転の決意でコスト構造改革に取り組む」(加藤CEO)のが大きなポイントだが、将来の道筋を探るヒントが盛り込まれているのも興味深い。
連合を組む日産、ルノーとの提携強化とは別に、東南アジアをはじめ、南米、アフリカなどの新興地域のパートナーに三菱商事との協業を強化するほか、中国では広州汽車と新型EVを共同開発する計画という。
現在、三菱自の筆頭株主は34%を出資する日産だが、三菱商事も20%を保有する大株主。
将来的に共倒れを回避日するために日産が三菱自を切り離す可能性も否定できず、それは、3社連合の再構築にも影響を及ぼすことにもなりかねない。
その場合、三菱グループのポジションが気になるところだが、日産株416.5円、三菱自株248円(8月14日終値)という地の底を這うような株価では手も足も出せないのが現状だろう。
背に腹はかえられぬともいうが、再編の引き金にもなりそうなこの先の株価の動向にも目が離せない。
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