トヨタ車に比べて以前より割高になってきている
ちなみに2005年にレクサスが日本で開業した当初、同じような計算を先代レクサスISと初代マークX、先代レクサスGSと12代目クラウンで行うと、ブランド価値と実質差額は約30万円であった。
またかつてのレクサスHS250hは、姉妹車のSAIを相手に同様の計算をすると、価格差を価格換算額の合計が上回った。車両価格自体は、HS250hがSAIに比べて約50万円高かったが、HS250hには価格差以上の機能や装備が加わり、SAIよりも明らかに買い得であった。
このようにレクサス車が割安に売られた時代もあったが、近年は少しずつ割高になっている。今はセダンも含めて、レクサスの質感や乗り心地に支払われるブランド対価は、UXと同様の50万円前後になった。
LXはランクル200より約440万円高い
そしてレクサスが用意するSUVで、価格の最も高い車種としてLXがある。悪路向けの機能を搭載したLサイズSUVで、ベース車はランドクルーザー200だ。
後輪駆動をベースにした4WDシステムを搭載しており、前輪駆動ベースのハリアーやRAV4とはクルマ造りが本質的に異なる。
比較するグレードは、レクサスLX570(1135万6481円)と、ランドクルーザーZX(697万4000円)だ。価格はLXが438万2481円高い。LXには2列シートと3列シート仕様があるが、価格は同額だ。2列シート仕様にはトノカバーが備わる。
LXとランドクルーザーを比べると、まずV型8気筒エンジンの排気量が異なる。ランドクルーザーは4.6Lの1UR-FE型だが、LXはストローク(シリンダーの行程寸法)を拡大した5.7Lの3UR-FE型を搭載する。
ランドクルーザーの最高出力は318馬力(5600回転)、最大トルクは46.9kgm(3400回転)で、LXは377馬力(5600回転)、54.4kgm(3200回転)に向上する。
気筒数やエンジンの基本メカニズムが同じ場合、排気量の相場は、一般的には100cc当たり2万円だ。そうなると両車の排気量の違いは1.1L(1100cc)だから、価格換算額は22万円に相当する。
LXにはブランド料として約241万円が付加!?
装備の違いも大きい。
LXには、ランドクルーザーがオプション設定する装備として、カーナビ+プレミアムサウンドシステム+マルチテレインモニター等(78万7600円)、パワーバックドア(11万円)、クールボックス(7万1500円)、リヤクロストラフィックアラート(6万6000円)、寒冷地仕様(1万7600円)などが加わる。
さらにLXではパーキングブレーキが電動式になり、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールも全車速追従型に上級化される。
三眼フルLEDヘッドランプ、LEDのクリアランスランプやコーナリングランプ、後席の電動スライド機能なども加えた。
これらの装備の違いを合計すると、LXには150万円前後の価値が加えられている。さらに3年間のレクサスメンテナンスプログラムなど、サービス面の対価が前述のレクサスUXと同様で25万円になる。
以上を整理すると、エンジン排気量の違いが22万円、装備の違いは150万円、サービス面で25万円だから、LXはランドクルーザーに総額197万円の価値を加えた。これを438万2481円の価格差から差し引いた約241万円がレクサス車の品質に支払われる対価だ。
UXが53万円であったことを考えると、LXに含まれるレクサスの対価は188万円上回る。つまりLXの妥当な価格は、1135万6481円から188万円を引いた947万6481円だ。
そこまで下げないとしても、LXの価格は、1000万円以下に抑えないとほかのレクサス車とバランスが取れない。
仮に1000万円を超えることで、LXのプレステージ性が高まると考えていたとすれば、それは大きな勘違いだ。少なくともトヨタに含まれるレクサスが行うことではない。
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