トヨタの真の狙いを解説「KINTO」で得する限られた人

KINTOは若者を引き付けるのが使命

 トヨタの販売店を通じてクルマを購入すると、その後の付き合いもあるから、途中でKINTOに乗り替えることは考えにくい。

 そして今は、新車需要の70~80%が、今まで使っていた愛車を下取りに出して新車を買う乗り替えに基づく。

 そうなるとKINTOの利用者は、クルマを何台か乗り継いできたベテランではなく、初めて所有する人達が中心だろう。そこでKINTOのCMも、若年層に向けた訴求を行っているが、今はこの世代がクルマをあまり買わない。

 言い換えれば、クルマを買わない若い人達を引き付けるのがKINTOの使命だ。そのように考えると、累計申込実績が急速に増えないのは当然だろう。

販売絶好調のライズは、若者からも人気が高く、2020年10月現在でKINTO ONEの人気ランキングで2位となっていて、月額3万9820円~
販売絶好調のライズは、若者からも人気が高く、2020年10月現在でKINTO ONEの人気ランキングで2位となっていて、月額3万9820円~

KINTOは任意保険を含んでいるのが特徴

 今はクルマのサブスクリプションサービスが増えつつあるが、KINTOの一番のメリットは、月額料金の中に任意保険料まで含んでいることだ。

 定額サービスやカーリースの場合、車両の使用料、税金、自賠責保険料、メンテナンス費用などを含むのは当然だが、任意保険料までカバーするのは珍しい。任意保険は保険料が概して高額で、特に若いユーザーでは高騰するためだ。

 KINTOが標準付帯している任意保険は、全年齢を補償するコースで、車両保険(免責は5万円)まで含まれる。対人と対物賠償は無制限、人身傷害補償は1名に付き5000万円だ。

 例えば契約者の未成年の子供が友人とドライブに出かけ、その友人が交代して運転している時に、運転ミスによる自損事故を発生させたとする。この状況でも車両保険が支払われるのだ。保険料が最も高額な加入方法になる。

デビュー以来快進撃を続けているハリアーは月額6万1600円からとなっていて、今後KINTO ONEでの伸びが期待されている
デビュー以来快進撃を続けているハリアーは月額6万1600円からとなっていて、今後KINTO ONEでの伸びが期待されている

保険料の高い若者にはメリットが大きい

 ヤリスクロス2WD・1.5Gで年齢条件などに基づく割引きのない任意保険に加入すると、車両保険まで加えれば、1年間の任意保険料は約30万円に達する。3年間なら90万円だ。

 ヤリスクロス2WD・1.5Gで3年間の残価設定ローンを利用すると(実質年率6.8%)、返済額の合計は約129万円になる。

 そこに購入時に納める税金と自賠責保険料が約11万円、そのほかの諸費用が約10万円、メンテナンスパックが約7万円という具合に加えると、合計約157万円だ。そこに3年間の任意保険料となる90万円を加えると、総額では247万円に達する。

2020年8月にデビューして、KINTO ONEに加わるや否や人気ナンバーワンとなっているのがヤリスクロス。月額4万4550円からとお手頃価格も魅力
2020年8月にデビューして、KINTO ONEに加わるや否や人気ナンバーワンとなっているのがヤリスクロス。月額4万4550円からとお手頃価格も魅力

 いっぽう、KINTOでヤリスクロス2WD・1.5Gを契約すると、毎月の支払い額は全年齢補償の任意保険料まで含めて4万4550円だ。

 3年間(36か月)であれば160万3800円だから、残価設定ローンを使って全年齢補償の任意保険に加入した場合に比べると80万円以上も安い。KINTOは若いユーザーにとって、利用価値の高いサービスに作り込んでいる。

 また数回にわたって任意保険を使い、等級の下がった(つまり任意保険料が高額になる)ユーザーにとっても、KINTOはメリットが大きい。

 KINTOであれば、ユーザー自身が加入してきた任意保険とは無関係だから、前述の定額料金で利用できる。

若者のクルマ離れが危惧されるなか、その若者の憧れの存在となっているアルファードは、月額7万2600円から利用できる
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