■スバルのイメージリーダーとなった大ヒットステーションワゴン
●初代レガシィ(1989年)
昭和の時代、スバルはほとんどの技術が時代遅れとなっていたのを原因に経営危機に陥っていた。
そこに平成の始まりとほぼ同時に登場した初代レガシィは車体、EJ型エンジンなど社運を賭けたすべてが新しいモデルで、当時の水準以上の仕上がりを見せた。
またスバルが長い歴史を持っていたステーションワゴンがレガシィのイメージリーダーとなり、登場した1989年の秋に追加された2LターボでATもあるGTもレガシィ人気を牽引。
また最後の最後で1勝を挙げたレガシィによるWRC参戦もスバルのブランドイメージ向上に貢献し、初代レガシィはスバルの再建から躍進の立役者となった。
●5代目レガシィ(2009年)
当時経営が思わしくなかったスバルは、レガシィを5代目モデルへのフルモデルチェンジでスバルにとって最大の市場である北米を重視したモデルに方向転換した。
5代目レガシィは広いキャビン、ラゲッジスペースを持っていたものの、大きなボディサイズやインテリアの安っぽさなど全体的に大味な仕上がりで、日本のレガシィファンからはソッポを向かれた。
しかし、メインターゲットとした北米ではスタート価格を安く設定したこともあり、「定評あるスバルの4WDなどを考えればリーズナブル」などの理由で大ヒットし、スバルの台所を潤わせた。
さらに日本でも登場2年目の2010年にスバルの基幹技術であるアイサイト装着車を僅か10万5000円で設定し、アイサイト効果により日本でのレガシィに対する注目や人気も盛り返した。
日本では悪役のようにも見られがちな5代目レガシィだが、世界的に見た5代目レガシィの成功によりスバルの経営は回復し、その軍資金で4代目モデルまでのレガシィの直接的な後継車となるレヴォーグが開発できたことは忘れてはならない。
各メーカーのこういったクルマは振り返ってみると、常に経営が安定しているトヨタ、ダイハツ、スズキでは浮かばない。こういったクルマがあることも当事者はたまったものではないにせよ、自動車業界らしい面白さや夢のようなものともいえるのかもしれない。
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