■技術的エポックメイクな金字塔車
バブル崩壊の痛手によってルノー傘下となった日産だが、皮肉なことにその後に面白いクルマが続々登場する。
その最大のスターは、やはりR35GT-Rだろう。
歴代GT-Rとは一線を画し、スーパーカーの領域に踏み込んだR35GT-Rは、技術的にもバブル期以来の凝ったメカニズムがてんこ盛りだ。
とりわけ、溶射ボア加工によるライナーレスアルミブロックや、リアアクスル側にミッションを配置したトランスアクスルレイアウト、肉薄アルミ鋳造パーツを多用したボディ構造など、これまで日本車ではほとんど例のなかった技術を数多く投入。モータースポーツに由来する技術もたくさん使われている。
ご存知のとおり、R35GT-Rはベストカー本誌でもお馴染みの水野和敏さんの手によるものだが、こういう野心的なクルマの企画で、当時社長だったカルロス・ゴーンにOKと言わせた交渉力がすごい。
水野さんのようにアグレッシヴな開発リーダーがいなければ、R35GT-Rは実現しなかっただろう。
その他、フィットはホンダ独自のセンタータンクレイアウトの元祖。i-MiEVは「世界初の量産EV」というパイオニア精神に敬意を表してノミネート。とりわけ、i-MiEVのチャレンジは、もっと評価されるべきと思う。
(選定:鈴木直也)
■デザインの金字塔車
思えば2000年代は、国産車デザインの低迷期。
これといった傑作が出ていない。そんななか日産は、ゴーン改革の初期、いいデザインをいくつか出している。
2代目キューブは、成功した和風自動車デザインとして、金字塔にふさわしかろう!
ワゴンRはユニバーサルデザインだったけど、キューブは明らかに和風。ほのかに、かつ明確に和を感じさせる、あの和箪笥のようなやさしい、角が丸みを帯びた立方体。今見ても傑作だ。
次点として三菱iを挙げておきとうございます。故・前澤義雄さんも高く評価されていました。
(選定:清水草一)
■実用度の金字塔車
2001年に登場した初代フィットは、コンパクトカーのなかでも特に実用的だった。
燃料タンクは現行型と同じく前席の下に搭載する。全長は3830mm、全高も立体駐車場を使える1525mm(2WD)に抑えながら後席と荷室は広い。家族で快適に使えた。
ツインプラグの1.3Lエンジンは、12.1kgmの最大トルクを実用域の2800回転で発生させて運転しやすい。
燃費も優れ、価格は売れ筋グレードの「A」が114万5000円と安かった。2002年には国内販売の総合1位になり、ヴィッツなど当時のコンパクトカーは、価格を一斉に改定してフィットに対抗した。
(選定:渡辺陽一郎)
■走りの金字塔車
インプレッサWRXとGT-Rを含め大いに迷ったけれど、ここは駆動力制御を思い切り取り入れてきたという点でランエボを選びたい。
なんせ前後の駆動力配分の電子制御化をはじめ、左右の駆動力配分まで取り入れてきた。本来なら曲がりにくいフロントヘビーの4WDなのに、ランエボときたらパワーオンでグイグイ曲がって行く!
世界中の自動車メーカーが「市販車にこんな制御を取り入れられるのか!」と思った。
インプレッサWRXもGT-Rも駆動力制御は行っているものの、ランエボと比べたらワンランク下がります。WRCでも大暴れしましたね。
(選定:国沢光宏)
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