ガソリン車と「徹底的に違う」MX-30 EVの走り
ネガティブなイメージを持ちつつ走り出すと「あらら?」。良いクルマです。ガソリンエンジン積んだMX-30は走り出した瞬間から「厳しいですね!」と思った。
ボディ剛性がまったく足りず、いろんなトコロから「揺れ」を感じる。エンジンフィールも濁っており、上質にほど遠い。同業者の皆さんの高い評価、私には理解できないほど。
なのにMX-30 EVときたら、徹底的に違う。まずクルマの雰囲気からして良い! どうしてだろうと考えながら乗っていたら「なるほど!」。
エンジンは重い。それをガッシリと車体に取り付けたら振動を伝えてしまう。そこで「マウント」という硬質ゴムの防振材を介して車体に搭載している。このマウント、けっこう動く。ボンネット開けて空ぶかしするとエンジン揺れます。走行中も同じ状態になっているということ。
さらに車体先端に2Lのペットボトル3本分くらいの冷却液を入れたラジエターも、同じように防振材を介して車体に取り付けあるため揺れる。エンジンとラジエター、揺れる周期は違うだろうから、おそらく走り出せばバラバラに揺れているだろう。
MX-30 EVはそういった好ましくない揺れが一切なし! 純米大吟醸酒のようにスッキリした乗り味だったりする。
もちろん、モーターも防振材を介して搭載されているけれど、圧倒的に軽く、後で聞いたらGベクタリングコントロール(編注:ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させ、車両の挙動をスムーズにする制御技術)のモーター版を採用しているということで、車体の挙動全体の細かい動きをコントロールしているそうな。
もうひとつ。これまた決定的だと思うのが、ボディ剛性。
MX-30 EVは、ドライバーの下あたりからリアサスペンションあたりまで、事故でも変形しないほど強固な金属ケースに入っている電池が搭載されている。観音開きドアのためBピラーのないMX-30のボディ形状でもガッチリと補強されるのだろう。床からの安っぽい揺れ感なし!
結果、驚くほど強固な車体に、驚くほど揺れない補機類が搭載されたクルマとなった。
また、最近のマツダ車にとって大きなハンデになっている「濁った音で回る個性のないエンジン」や「イマドキ6速AT」といった競合他社に遅れているユニットも付いていない。電気自動車作りなら横一線のスタートになる、ということなんだと思う。
マツダの技術力示すMX-30はEVが「ベース」
「楽しいと言えないエンジン」を除けばマツダの技術は高い。巡航すれば素晴らしい質感を感じる乗り心地だし、当然のことながら静か。
コーナーも重い電池を車体中央の床下に搭載しているため、低重心&前後均等荷重の素直さがそのまま出てくる。正統派の良いクルマです。電池自動車ということで考えたら、デザインすら個性あって好ましい。
話を聞いてみるとMX-30というクルマ、電気自動車をベースに開発したそうな。途中から急遽エンジン搭載車も作った。
結果、エンジンの揺れの制御や、電池ケースなくなり剛性落ちた車体の作り込みができなかったのだろう。MX-30 EVはとにかく誰が乗っても「いいね!」というクルマに仕上がっている。ぜひ試乗してみて欲しい。
マツダは搭載する電池容量の増加も考えているという。となるとモーター出力だって上げられるため、走る楽しさまで上乗せされるに違いない。
下を見て60kWhくらいの電池を搭載し、プジョーなど輸入車と同じ400万円を切る価格にしてくれば、けっこう魅力的な電気自動車となる。マツダ、電気自動車に注力したらいいと思います。
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