新型ノート登場で勢力図激変!!? ガチ燃費チェック!! 最新国産コンパクトカー徹底調査

【番外コラム】新型ノート・ファーストインプレッション

●鈴木直也のファーストインプレッション

 新型ノートe-POWERの第一印象は、やはりデザインのカッコよさだね。

 日産の新世代デザインは“タイムレスジャパニーズフューチャリズム”という概念なんだそうで、要するに日本の伝統美を踏まえた未来感ってことかな。

 シンプルでくどくないのは和のテイストなんだろうが、それでいて鋼のような芯の強さがあって斬新。パッと一見するだけでチカラの入れ具合が伝わってくる。

 インテリアもいい。9インチ液晶のセンターディスプレイと7インチ液晶のメーターパネルが一体化したインパネや、新しいデザインになったシフト周りがワクワク感を盛り上げる。全体の造りがもうちょっと緻密に仕上がっていれば“なおよし”だが、内装の質感はBセグの水準を突き抜けたと評価できる。

 新型ノートは普通のエンジンモデルを廃止してすべてe-POWERで統一。そのためエントリー価格は200万円を超える。その割り切りがこの上質感を醸し出せた要因なのだろうが、実際、今回のテストのようにライバルを一堂に集めて試乗してみると、ワンランク上の車格感が際立っている。

 走らせてみると、相変わらず気持ちいいアクセルレスポンスが魅力的だ。「ここで前へ出たい」と思った時、スッと加速する力強いトルク感がe-POWERの醍醐味。加速、減速の多い市街地の交通状況で、そのドライバビリティが光る。

 元気のいい走りという点ではヤリスハイブリッドも相当なものだし、フィットハイブリッドの“心地よさ”にこだわった自然なパワーフィールも心地よい。また、マイルドとストロング2種類のハイブリッドがチョイスできるスイフトのラインナップも楽しい。

 将来ガソリン車の販売が終了したとしても、バラエティに富んだこれらハイブリッドが電動車にカウントされれば全然問題なし。

 ピュアEVのリーフとノート”をセットで用意する日産の戦略が、現時点では最も堅実な電動化対策だと思うな。

新型ノート
新型ノート

●渡辺陽一郎ののファーストインプレッション

 2020年11月に発表された新型ノートは、先代型に比べて内外装、走行安定性、操舵感、乗り心地、安全装備などを大幅に向上させた。運転支援機能のプロパイロットも選べる。

 その代わりe-POWERのみになったが、開発者は「低価格のノーマルエンジンを用意したら、コスト低減に縛られて、質感をここまで高められなかった」と述べている。

 コンパクトカーは、国内で売られる小型/普通乗用車の40%を占める人気のカテゴリーだ。競争も激しく、特にノーマルエンジン車は低価格が重要で質を高めにくい。そこで新型ノートは、e-POWERのみにして上質に作り込んだ。その結果、コンパクトカーの質感の平均水準が以前より高まり、ライバル車の勢力分布にも影響を与える。

並み居る競合を相手にどこまで食い込めるか?
並み居る競合を相手にどこまで食い込めるか?

 最も大きな影響を受けるのはヤリスだ。日本自動車販売協会連合会のデータでは、ヤリスの登録台数はN-BOXを抜いて国内の総合1位だが、この数字にはSUVのヤリスクロスも含まれてヤリス全体の約50%を占める。

 従ってコンパクトカーのヤリスにかぎると、今の売れゆきはルーミーやアルファードと同等だ。ヤリスハイブリッドの燃費は、WLTCモード、実走燃費ともに際立って優秀だが、前述の内外装、走行安定性、乗り心地、後席の居住性、ノイズを新型ノートと比べられると辛い。

 逆にフィットは影響を受けにくい。全高を立体駐車場が使いやすい1550mm以下に抑えた5ナンバーサイズのコンパクトカーでは、後席の足元空間が最も広く快適に座れるからだ。燃料タンクは前席の下に配置され、荷室容量も最大級になる。

 その点で新型ノートは、ホイールベースを先代型よりも20mm短く抑えて後席の足元空間も少し狭めたから、フィットの広さは圧倒的だ。新型ノートとも競争しにくい。スイフトも低価格を独自の価値としている。

 それでもコンパクトカーであれば、各車種とも需要を少なからず新型ノートに奪われる。特にハイブリッドは、割安な特別仕様車の設定など、対策を急ぐことになりそうだ。

【画像ギャラリー】バリバリの新型ノートほか エントリーされた5台とテストの様子をギャラリーでチェック!!!

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