■カローラツーリングのメリット
カローラツーリングのメリットとして、筆頭に挙げられるのは、日本向けに開発されたコンパクトなボディだ。カローラツーリングは、継続生産されるカローラフィールダーに比べると大柄で、3ナンバー車になるが、それでも全長は4495mm、全幅は1745mmに収まる。レヴォーグの4755mm×1795mmに比べるとコンパクトだ。
最小回転半径もレヴォーグは5.5mだが、カローラツーリングは5.0~5.3mだから小回りの利きもいい。つまりカローラツーリングは、3ナンバー車になった今でも、運転しやすいワゴンに位置付けられる。
価格が割安なことも特徴だ。パワーユニットは、1.2Lターボ、1.8LNA、1.8Lハイブリッドの3種類を用意する。このうち、1.8Lノーマルエンジンの2ZR-FAE型は、2009年に登場した2代目ウィッシュなどを含めて幅広い車種に搭載されてきた。いわばコスト低減の進んだエンジンだから、カローラツーリングも価格を安く抑えている。
1.8Lノーマルエンジンを搭載するカローラツーリングSは、衝突被害軽減ブレーキ、全車速追従型クルーズコントロールなどの運転支援機能、サイド&カーテンエアバッグ、ディスプレイオーディオ、16インチアルミホイールなどを標準装着して、価格は221万6500円だ。
同じ価格帯の車種を見ると、インプレッサスポーツ2WD·2.0i-Lアイサイトは224万4000円だが、ヘッドランプはハロゲンになり、ディスプレイオーディオなども採用されない。インプレッサスポーツも買い得な5ドアハッチバックだが、カローラツーリングはさらに割安だ。
■ワゴンボディの魅力
また、カローラツーリングの1.8Lノーマルエンジンは、前述のとおりコスト低減を行ったから、ハイブリッドと比べても価格が安くなる。ハイブリッドSは265万1000円、1.8Sは221万6500円だから、ノーマルエンジンが43万4500円下回る。ヤリスクロスの場合は、ノーマルエンジンとハイブリッドの差額は約37万円だから、カローラツーリングではノーマルエンジンを戦略的に安く設定している。
このほかカローラセダンのSと比べても、カローラツーリングSの価格アップは7万7000円だ。ワゴンとしては価格の上乗せが小さい。
ちなみに今はワゴンが少数派になり、コンパクトサイズはカローラツーリングとシャトル、ミドルサイズもレヴォーグとマツダ6ワゴンしか用意されない。この背景には、ワゴンの需要が海外を含めてSUVに奪われ、日本ではミニバンにも押された事情がある。
ただし、ワゴンの魅力まで薄れたワケではない。ワゴンはSUVやミニバンに比べると重心が低いので、セダンと同様に走行安定性を向上させやすい。高速道路の横風などにも強い。全高が1550mm以下に収まるため、立体駐車場も使いやすい。コンパクトカーに比べると、荷室面積が広く、内外装の質も高い。
このような理由により、SUV、ミニバン、コンパクトカーよりも扱いやすいサイズのワゴンを希望するユーザーも少なくない。それなのにワゴンの車種数が激減したから、ワゴン需要が買い得なカローラツーリングに集中した。レヴォーグにも当てはまる話だが、国産ワゴンの選択肢が減った結果、カローラツーリングの人気が押し上げられた経緯もある。
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