新型Z650RSが登場!? 令和版ザッパーがZシリーズ50周年に出そうな理由とは?

ネオクラZの第二弾はなぜ650なのか? 歴史をトレースするZ-RSシリーズ

 カワサキZといえばZ1が有名だが、その次に第2世代の空冷4気筒を搭載したZ650が存在していた。排気量は652ccとZ1の903ccよりも一回り小さく、その分軽快なハンドリングで親しまれたモデルだ。カワサキがZ900RSの次にZ650RSを登場させるのは、Zの歴史をトレースする意味もあるだろう。

 ブランドイメージ確立に歴史は欠かせないもの。カワサキはこれを戦略的に展開しており、最近ではメグロK3復活時のプロモーションが記憶に新しい。カワサキが吸収した目黒製作所を前面に押し出し、アジア最古のビッグバイクブランドの出自も印象づけていた。

 今回は、Z650=ザッパーの歴史を掘り起こし、Z650RSのリリースとともにライダーにアピールすることを狙っているはずだ。単にネオクラモデルをリリースするのではなく、歴史という付加価値を乗せることがセールスに直結することは、Z900RSの実績からも明らかだ。

 Z650RSの場合は、強くアピールできるポイントは「ザッパー」になるだろう。これはZ650の通称で、往事のカワサキマンによると風圧で服がパタパタ鳴る擬音「Zap」を変化させて「Zapper」にしたという。Zapには俊敏に動くという意味もあり、Z650の通称にはぴったりだった。

こちらが1976年に発売されたZ650。エンジンは空冷並列4気筒652ccで64PSを発揮していた。車重はZ1よりも20kgほど軽量だったことからザッパーと呼ばれた
こちらが1976年に発売されたZ650。エンジンは空冷並列4気筒652ccで64PSを発揮していた。車重はZ1よりも20kgほど軽量だったことからザッパーと呼ばれた
カワサキのティザー動画第2弾にはさりげなくZ650の姿が映りこんでいる。その後第3弾の動画ではうっすらとシルエットを見せている(ギャラリー参照)
カワサキのティザー動画第2弾にはさりげなくZ650の姿が映りこんでいる。その後第3弾の動画ではうっすらとシルエットを見せている(ギャラリー参照)

 さらに、ザッパーは単にZ650の通称だけではなところがミソ。カワサキがザッパーを通して強く訴えるのは、カワサキZシリーズの原点だろう。実はザッパーは、カワサキがZ1を開発する際のコンセプトとして一番最初に使ったキーワードだったのだ。

 1968年4月付けアメリカカワサキによるN-600の提案書にはこのように記されている。

 「The big displacement market is divided into two types of machines: “Zappers” and Touring Cycles. “Zappers” is a word not in a Japanese – American dictionary, but means a type of cycle that is light, powerful, and will go from one stop light to another quickly – like ZAP!」

 「アメリカの大型バイク市場で販売されているモデルは、ザッパーズとツアラーの2つに分けられる。ザッパーズは和英辞典を調べても見つからない言葉で、意味はシグナルダッシュで速い軽くてパワフルなバイクのこと。ZAPのように!」

 N-600とは後のZ1のことで、ザッパーズとは大排気量4ストロークマシンのことを指していた。そして、カワサキは4気筒750~850ccのザッパーを開発すべしと締めくくっている。この提案書を受け、明石の開発陣が1972年秋にZ1をアメリカに送り出したのだ。

 何故ザッパーがZ1の通称にならなかったかというと、開発途上でCB750フォアに対抗するために排気量が大きくなったためだ。当初のN-600のイメージに近いのは、軽量のZ650だったことからこれがザッパーと呼ばれるようになったという。

1972年秋に出荷が始まったZ1は、開発コードN-600からT-103に設計変更されたモデルの完成形。打倒ホンダCBを掲げ、ゼロヨン加速から世界最速へと軸足が移っている
1972年秋に出荷が始まったZ1は、開発コードN-600からT-103に設計変更されたモデルの完成形。打倒ホンダCBを掲げ、ゼロヨン加速から世界最速へと軸足が移っている

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