海上自衛隊の艦艇のことを、よく「護衛艦」と呼んでいるのを耳にするが、そもそも護衛艦とはどんな船なのだろうか?
また一口に護衛艦といっても、実際にはDD(汎用護衛艦)やDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)、DDG(ミサイル護衛艦)などと、その機能や役割によって分類されている。
素人目には同じに見えてしまいがちな護衛艦について、その役割や分類について解説する。
文・イラスト/坂本 明、写真/海上自衛隊
【画像ギャラリー】DD、DDH、DDG……海自の艦艇を一気チェック!(10枚)画像ギャラリー■高まる緊張……。有事に対応するのが「護衛艦」
近年、中国は強大な海軍力や空軍力を背景に外洋への進出を図り、南シナ海や東シナ海、さらには日本海でも活動を活発化させている。
たとえば2021年12月には空母「遼寧」をはじめとする艦艇4隻が沖縄本島と宮古島の間を南下し、東シナ海から太平洋に入り、周辺諸国に対する威圧行動を行った。また日本に対しては、中国船籍の船舶が尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域を航行し、挑発行動を行なっており、その日数は2020年だけでも333日間に及ぶ。
日本ではこうした事態に平時においては海上保安庁の巡視船が対処しているが、中国の挑発行動は一歩間違えれば武力衝突にもなりかねない。そうした有事に対応するのが、海上自衛隊の護衛艦だ。
ところで、護衛艦という言葉をよく耳にするが、護衛艦とはいったいどのような船なのだろうか。
一般的に護衛艦とは、駆逐艦、フリゲート、コルベットなどの水上戦闘艦の総称のことである。その任務は艦隊や商船団を護衛し、対潜・対空戦闘を行うこと。状況によっては水上打撃戦や上陸支援、陸地攻撃、哨戒・監視などの任務も遂行する艦艇と定義されている。
ちなみに駆逐艦は速力が速く、対潜戦を主任務とするが、対空戦、対水上戦、哨戒、捜索、救助活動なども行う汎用性の高い艦である。かつては満載排水量3000~7000トン程度だったが、イージス・システムを搭載し、汎用航空プラットホームが運用できる現代の大型駆逐艦では、満載排水量が9000トンを超えるようになっている。また、今日では駆逐艦は各国の主力艦艇でもある。なお、フリゲートやコルベットは駆逐艦よりも小さい艦である。
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