新車販売2位の実力車! 欠点まで味方に付けた!? ルーミーがメガヒットした理由

■売れ行き好調のルーミーだが、購入にあたっての注意点もある、要チェックだ

 ただしルーミーには、選ぶ時の注意点もある。後席はコンパクトに格納して広い荷室として使える半面、座面は柔軟性が乏しく、床と座面の間隔も足りないから、足を前側へ投げ出す座り方になりやすい。

 直列3気筒1Lノーマルエンジンは、基本的にパッソ&ブーンと同じ性能だが、ルーミーは車両重量が170kgほど重い。従って動力性能が不足する。ターボならパワー不足は解消されるが、2500回転付近の実用域を中心にノイズが粗い。乗り心地にも硬さが伴い、車線変更の時などは、揺り返しも大きめに発生する。

「ルーミー」の長所でもあり短所でもあるリアシート。積載性を考慮したシート構造、サイズは座り心地を重視するユーザーには厳しい評価になりそうだ。室内の静粛性もライバルに劣る一面も
「ルーミー」の長所でもあり短所でもあるリアシート。積載性を考慮したシート構造、サイズは座り心地を重視するユーザーには厳しい評価になりそうだ。室内の静粛性もライバルに劣る一面も

 ルーミーにこのような不満が生じた理由は、約2年間という短い期間で開発されたからだ。2014年は先代ハスラーのヒットをきっかけに、ダイハツとスズキの販売合戦が激化して、在庫車を中古車市場に卸す販売台数の粉飾も活発に行われた。その結果、2014年の販売統計では、国内で新車として売られたクルマの41%が軽自動車で占められた(2021年は37%)。

 そこで慌てたのがトヨタだ。軽自動車の販売急増を食い止めるため、軽自動車で売れ筋になるスーパーハイトワゴンの小型車版を大急ぎでダイハツに開発させた。それがルーミーとその姉妹車で、開発を2014年にスタートさせて、2016年11月に発売した。

 ただしライズやロッキーが採用する新しいプラットフォームは、当時は開発途上の段階だから使えない。そこでプラットフォームやエンジンをパッソ&ブーンと共通化したが、ライズはボディが170kg重く全高も210mm高いので、先に述べたような走りの無理が生じた。

 従ってルーミーを買う時は、スズキの販売店にも出かけて、ライバル車のソリオも試乗すると良い。ソリオはルーミーに比べると車両重量が80kg前後は軽く、エンジンは1.2L直列4気筒だ。現行型は2020年11月の登場とあって設計も新しく、動力性能、走行安定性、乗り心地、後席の座り心地については、ルーミーよりも優れている。

 その代わり荷室と収納設備はルーミーが使いやすい。ルーミーは荷室の床を反転させると床面に汚れを落としやすい素材が貼られ、自転車を積んだ後の清掃もしやすい。ライバル車と乗り比べて、長所と欠点を把握した上で、購入の判断をされるのが良いと思う。

 その一方で逆説めいた表現になるが、大急ぎで開発したことが、ルーミーにとってプラスに作用した面もある。ルーミーは小型車だから、開発に時間を費やせたら、外観をカッコ良く仕上げるなど軽自動車のスーパーハイトワゴンとは違う付加価値を追求したかも知れない。

 仮にそのような造り方をしたら、ユーザーのニーズから離れた可能性もある。ルーミーは時間が足りないこともあり、N-BOXやタントを素直に小型車サイズに拡大するようなクルマ造りを行った。そこがユーザーの共感を得た面もある。

■短期開発の長所短所入り混じるルーミー、次期型はダイハツの新技術満載に期待!!

 このような長所と欠点も取り混ぜて、トヨタは欠点まで味方に付けて、常に販売で成功するクルマ造りを行う。今は納期でも注目されている。

販売店では「ルーミーの納期は約2ヵ月に収まり、半年近くを要するヤリスに比べて大幅に短い。待たずに買いたいために、ルーミーを選ぶお客様もいる」という。

 なお今後の動向として、ライズやロッキーが新搭載したeスマートハイブリッドと1.2Lノーマルエンジンを加える可能性もあるが、前述の通りルーミーはプラットフォームが古い。

新しいパワーユニットを搭載できないため、思い切ってフルモデルチェンジを行い、プラットフォームをライズやロッキーと同じ新しいタイプに刷新することも考えられる。

次期型ルーミーのベースになるであろうDNGA&eスマートHVを採用したロッキー(ライズ)。トヨタが標榜する良品廉価を実現すべくダイハツの開発陣が知恵を絞っている事に期待!!
次期型ルーミーのベースになるであろうDNGA&eスマートHVを採用したロッキー(ライズ)。トヨタが標榜する良品廉価を実現すべくダイハツの開発陣が知恵を絞っている事に期待!!

 そうなれば走りの機能も大幅に向上するだろう。今後のルーミーの進化に期待したい。

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