2匹目のどじょうはいたか? 日本車をパクッた日本車たち

 数年前まで、中国のモーターショーでは、民族系中国メーカーが出展するパクリカーに大いに注目が集まったものだ。

 我々は「やっぱ中国はコピー天国だよな〜」と、上から目線で眺めていたが、振り返れば我が国も、かつてはコピー天国だった!

 日本人は、中国にはいまだに偽ディズニーランドみたいのがあると笑っているが、何を隠そうわが母校・慶應義塾は、私が大学生の頃までは、早慶戦などの応援のキャラクターにミッキーマウスを使っておりました。

 正式には昭和37年までですが、その後も間違いなく使用しておりました(早稲田はフクちゃん)。東京ディズニーランドができてから? 使わなく(使えなく)なったようです。

 話がそれたが、国産車におけるパクリは、輸入車のパクリもさることながら、国産車同士のパクリのほうが主流だった。なにしろ本邦の国内市場は、国産車の販売割合が約95%。世界でも類を見ない閉じた市場だけに、パクリも内需中心だったのです。

 今でも軽自動車業界では、コンセプトのパクリは当然のこと。軽は国内にしかないので。ということで、日本車をパクッた日本車図鑑を、清水草一氏がお届けします!

文/清水草一

写真/ベストカー編集部


■初代トヨタソアラ←2代目日産レパード

1981年〜1986年に販売された初代ソアラ。ハイソカーブームの火付け役となった

1986年2月〜1992年6月まで販売。初代ソアラを強く意識した2代目レパードはR31スカイラインとプラットフォームを共用。開発責任者は伊藤修令氏

 初代ソアラが登場したのは1981年5月。当時は、2800ccの170馬力というスペックだけで度肝を抜かれたが、主に直線を組み合わせたフォルムの美しさにも全国民が魅了され、大ヒットとなった。

 当時、これがどれくらい売れたか、資料が見つけられなかったのですが、続いてヒットとなった2代目ソアラで、月販約5000台。プレミアムスペシャルティクーペがこんなに売れるなんて、今では逆立ちしてもあり得ない。

 そのソアラをパクッたのが、2代目日産レパードであります!

 初代レパードは、ソアラより1年早く生まれた、プレミアムスペシャルティクーペの先輩だが、ソアラの登場とともにブッちぎられていた。

 そこで1986年2月に登場した2代目は、まんまソアラのパクリデザインでリボーン!  それはもう、フォルムからディテールにいたるまで、ソアラの語尾を変えただけでした。

 実はこの1か月前、ソアラも2代目にモデルチェンジしたばかり。おかげで2代目レパードのパクリ感が、より際立つ結果となった。

 実際にソアラ(本物)とレパード(ニセ物)を見比べると、完成度の差は明白。レパードは、後追いのパクリでも大敗を喫するという、屈辱にまみれたのです。

 その後2代目レパードは、テレビドラマ『あぶない刑事』で使用されたことから、今でも一部でカルト的人気を集めているが、全体から見ると、小さなエピソードであると言えるでしょう。

■パクリ判定/超有罪
■パクッた結果/大敗北

■初代トヨタカリーナED←マツダペルソナ

1985年8月〜1989年8月。4ドアピラーレスハードトップというコンセプトで登場し、大ヒットしたカリーナED。今、出せば売れるんじゃないかと!

1988年11月〜1992年3月。カリーナEDの大ヒットを受けて登場したマツダペルソナ

カリーナEDと異なっていたのがインテリアを重視していたこと。インテリアイズムというキャッチコピーで、CMにはイングリッド・バーグマンを起用した。まるで豪華なリビングルームだ

 1980年代も中盤に差し掛かると、バブルへと向かう好景気の中、ハイソカーブームが巻き起こる。1985年8月発表のカリーナEDは、ルーフが低い、スポーティな4ドアピラーレスハードトップとして登場。良識ある自動車評論家は、「無意味に居住性を犠牲にしている」と大いに批判したが、そんなことはおかまいなしに、時世に乗って爆発的なヒットとなった。

 思えばこのコンセプト、欧州では、メルセデスCLSやBMWのグランクーペで大復活中。トヨタの先見の明に、21世紀になって頭が下がっております。

 この約2年後、マツダがペルソナをリリース。ラウンジのソファのようなシートを持ち、インテリアにこだわったクルマだったが、ルーフの低いピラーレス4ドアハードトップという成り立ちは、どう見てもカリーナEDのコピーだった。ただし、大トヨタの販売力の前に大敗を喫しました。

■パクリ判定/微妙に有罪(発売時期と”インテリアリズム”に、情状酌量の余地あり)
■パクッた結果/大敗北

■初代ホンダオデッセイ←初代日産プレサージュ

1994年10月〜1999年10月。大ヒットした初代オデッセイは当時、経営危機にあえいでいたホンダを救ったと言われている。アダムスファミリーによるCMが懐かしい

1998年6月〜2003年7月。当時、大ヒットしていた初代オデッセイの市場に、2匹目のどじょうはいなかった。バサラという兄弟車もありましたね

 バブルが崩壊し、90年代中盤に差し掛かると、世はRV(レクリエーショナルビークル)ブームとなる。主流はパジェロなどのクロカン4WDだったが、エスティマに代表されるミニバンも、新たなファミリーカーとして人気が高まり始めた。

 当時ホンダはRVを持っていなかったため、苦肉の策として、アコードのプラットフォームと生産ラインを流用し、背の低いミニバン、オデッセイ(1994年10月発発売)を開発。これが予想外の大ヒットとなり、ホンダの救世主となった。

 当時はまだバブルの余韻もあり、若いパパたちはスポーティなフォルムを捨てきれていなかった。オデッセイの低ルーフは、偶然その秘孔を突いたのである。

 このヒットを見てか(?)、トヨタは1998年6月にイプサムをリリースしたが、見事に敗退。見た目のダサさゆえに、オデッセイのパクリとも認識されていない。

 一方、日産の初代プレサージュは、オデッセイ登場の4年後に発表されただけに、パクリを意識して開発するだけの時間があった(はず)。

 ただしそのフォルムは、オデッセイを野暮ったくしただけ。絵に描いたような劣化コピーで、これまた見事に散華した。

■パクリ判定/有罪
■パクッた結果/大敗北

■初代ホンダストリーム←初代トヨタウィッシュ

2000年10月〜2006年7月。オデッセイの大ヒットの後、背の低い5ナンバーミニバンとして登場

2003年1月〜2009年4月。ストリームの大ヒットを受けて、全長4550×全幅1695×全高1590mmと、まったく同じボディサイズで登場。ストリームのマイナーチェンジの時のCMで、「ポリシーはあるか。」と応酬された

「5ナンバーサイズのスポーティなミニバン」というコンセプトはもちろんのこと、車体寸法がミリ単位で同じだったことから、「パクリの典型」と見られている。

 が、この2台の発表時期を見ると、ズレは2年3か月。当時、2年余りでニューモデルを開発するのは難しかったと思われるので、車体寸法がミリ単位で同じになったのは、コンセプトから導き出された必然の偶然?という見方もできる。

 ウィッシュッの企画段階では、まだストリームは登場しておらず、トヨタが意図していたのは「5ナンバーサイズのオデッセイ」というところまでだった可能性がある。

 ストリームは発売と同時に大ヒットとなったが、ウィッシュの登場後は、トヨタの販売力に押されて徐々に劣勢となり、最終的にはウッシュの勝利となった。トヨタ恐るべし。

■パクリ判定/超灰色
■パクッた結果/勝利

■初代エルグランド←初代アルファード

1997年5月〜2002年5月。初代エルグランドが販売されていた時、トヨタはグランピア/グランドハイエースを販売していたが、エルグランドがLクラスミニバン市場で圧倒していた

2002年5月〜2005年4月。初代エルグランドの大ヒットを受けて登場した初代アルファード。次第にアルファードが市場を席巻していく

 アルファードは、エルグランドの典型的なパクリカーであると断じることができる。
エルグランドの登場は1997年5月で、2002年5月に2代目にチェンジ。その時期に合わせてトヨタがリリースしたのが、初代アルファードだ。

 元祖側のモデルチェンジに合わせてパクリを出したタイミングは、ソアラに対するレパードと同じで、今度はトヨタがやり返した形である。

 ベースの駆動方式こそ違ったが、箱型の大型高級ミニバンというコンセプトや、イバリの強いアメリカン・ミニバン風のグリルという部分はまったく同じ。

 それでいてアルファードは、FFベースがもたらす居住性や、4気筒2.4Lエンジンの投入によるお買い得感で、登場直後からエルグランドを逆転。その後差は開く一方となった。

 現在は、日産が国内専用車としてのエルグランドの新規開発をあきらめ、米国向けの「クエスト」の幅狭版にしたことから、ルーフが低くなり、半ば戦線離脱状態に。アルファード/ヴェルファイアの独走となって久しい。

■パクリ判定/もともとは超有罪
■パクッた結果/大勝利

■特別番外編/スズキX90←イヴォークコンバーチブル

 これは国産同士じゃないですが、余話として。販売当時、迷車・珍車の名を欲しいままにしたX90だが、SUVとオープンの合体というコンセプトは、イヴォークコンバーチブルも一応同じ(?)。パクリではぜんぜんないにせよ、後追いと言えないこともない。VWも後追いする可能性アリ。

 ひとつのコンセプトが、時代を超えて復活することもあるということで、いまさらながら、X90に敬礼!

1995年10月〜1997年12月。1993年の東京モーターショーに出展した際、大好評だったので市販化。2シーターSUVという異色なキャラクターだったが大不人気

2015年11月に発表され、日本でも2016年9月から受注が始まったレンジローバーイヴォークコンバーチブル。異色さという点ではどちが上?

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