日米の金利差を容認する日銀の謎
こうした状況において、日銀は米国との金利差を縮めるどころか、2月には日本国債の「指値オペ」(10年国債の利回り0.25%での無制限買い取り)を実行した。
「円と同様に、日本の国債も売られている」と先述したが、日銀はその売買によって日本国債の利回りが上がらないことに注力しているのだ。つまり日銀だけが日本国債の大量購入を行い、利回りの上昇、強いては市中金利の上昇を抑え込んでいる。その結果、利上げを示唆する米国との金利差は縮まるどころか、さらに広がることになる。
円安であれば、東証の一部上場企業に多い輸出型の国内メーカーの株価は上がり、日経平均も上がるだろう。一方で、輸入コストは増大するため、エネルギー、原材料、食品などの価格は上昇する。結果、投資をするための余剰資金を持つ人々は儲かるが、食品や光熱費が上がることで家計は圧迫されるという構図が成り立つ。
にも関わらず日銀が国内金利を抑えようとするのは、日本の経済体力が落ちているからだ。今、日本の市中金利が上がれば、政府が抱える膨大な借金の利子率が上がり、企業の設備投資なども抑制することになる。それを回避するために日銀は、所得が上がらず物価だけが上昇する「悪いインフレ」を容認している。
そのインフレが本格的な「スタグフレーション」に発展しないか? その間、我々国民と日本の企業は耐え忍ぶことができるか?
今危惧すべきは、すべてこの2点に集約されるだろう。政府の「燃油価格の抑制策延長」などという小手先の政策では、到底対処できない事態だと思うのだが。
【画像ギャラリー】これはヤバい! クルマの消耗品も続々値上げの予感……(13枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方