【企業努力? 裏切り?】 自動車メーカーが公言したくないこと10選

■転がり抵抗を抑えるためにタイヤの指定空気圧を高める

燃費数値を向上させる手段として、タイヤの指定空気圧を高めることも行われる。空気圧を高めれば、タイヤが路上を転がる時の抵抗を減らせるからだ。

ただし低燃費指向のタイヤで空気圧まで高めると、乗り心地が硬くなりやすい。走行安定性にも良くない影響を与える。

アルトのJC08モード燃費は37.0km/Lで、ハイブリッドを除くノーマルエンジン車では最も優れた数値だが、13インチタイヤ装着車の指定空気圧は280kPaだ。通常は180〜220kPaだから、アルトの数値は圧倒的に高い。ミライースも260kPaに達する。アクアGは230kPaで、高めではあるが軽自動車ほどではない。

アルトの13インチ装着車の指定空気圧は280kPaと通常の180〜200kPaから比べると圧倒的に高い

■アクセルを踏むと早い時期にスロットルが大きく開く

燃費数値の粉飾を図ると、運転感覚が悪化する。エンジン排気量の割に車両重量が重い車種も、動力性能が悪くなる。

そこでアクセルペダルの踏み始めの段階で、スロットルを大きく開くセッティングを施す。軽くアクセルペダルを踏んだだけで加速が一気に高まるから、販売店で短時間の試乗をした時などは、意外に加速力が高いと錯覚する。

しかし早々にフルスロットルになるから、そこから先はアクセルペダルを踏み増しても動力性能は高まらない。運転に慣れるとパワー不足であることが分かってしまう。

またこの設定だと、アクセルペダルによる駆動力の細かな調節が行いにくい。大雑把に反応する使いにくいエンジンになり、ユーザーによっては運転の仕方も粗くなって危険を誘発する。実用燃費にも悪い影響を与える。

従ってアクセルの踏み方とスロットル開度は比例させ、深く踏み込んだところでフルスロットルにする設定が好ましい。詐欺的なセッティングはやめたい。

■ブレーキサイズは小さくブレーキブースターで制動力を高める

ブレーキにもコストの低減が求められる。そうなると日本車の場合、ブレーキのサイズは小さく抑えて、ブレーキブースター(真空倍力装置)で制動力を確保しようとする傾向が強い。ブレーキのサイズアップはコストを高めるが、ブレーキブースターの大小では、金額があまり変わらないからだ。

またブレーキの「鳴き」もコストに影響する。ブレーキに限らずノイズを嫌うユーザーは多く、ブレーキ鳴きについても販売店に改善を求める。保証期間内であれば車両を預かり、調節をして返却する。この工賃はメーカーに請求され、鳴きが生じやすい車種はメーカーの出費を増やしてしまう。

その結果、ブレーキではコストと併せて鳴きにくいことが重視され、制動性能やコントロール性はさらに下がってしまう。

■サイド&カーテンエアバッグが非装着の車種が多い

今は緊急自動ブレーキを作動できる安全装備が注目され、メーカーが販売に力を入れる車種は、大半が装着している。歩行者を検知できるタイプが増えて、軽自動車まで普及した。

この傾向は好ましいが、衝突後の乗員保護性能を左右するサイド&カーテンエアバッグは、軽自動車の場合、設定の差が激しい。

スズキワゴンRでは、最上級のスティングレーハイブリッドT以外はオプションでも装着できない。日産はデイズルークスの全車にサイドエアバッグを標準装着したが、デイズには設定がない。

ワゴンRスティングレーのハイブリットTに装着されているサイドエアバッグをはじめとする6エアバッグ

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