車止め ボディを擦る「高さ」の実態と落とし穴

車止め ボディを擦る「高さ」の実態と落とし穴

コンビニや高速道路のSA/PAなどの駐車場で、車止めにボディを擦って傷を付けてしまったことはないだろうか。

写真のNSXのようなスポーツカーは、一般的なクルマより車高が低いため、車止めにバンパーなどを擦るリスクが高いことは想像に難くないが、実は一般的なクルマでも特に前向きに駐車をした場合、「ズルズル」という音ともに下回りを擦ってしまう可能性は思いのほか高い。

コンビニの駐車場などで見かける車止め、そして一般的なクルマの“最も低い部位”はどの程度の高さなのか。実は、この“最も低い部位”にも落とし穴が潜んでいる。

文:永田恵一/写真:編集部、Adobe stock


車止めと最低地上高の「高さ」の実態は?

実は車止めの高さに明確な規定はなく、その高さはマチマチ。ただし、多くの車止めの高さは一定の範囲に集中している

車止めにボディを擦ってしまう条件を考察するために、まず車止めの高さを調べてみた。車止めの高さはいろいろあるのだが、大部分は90~150mmといったところで、その半数ほどが120~130mmに集中しているようだ(SA/PAの輪止めは低い傾向に感じる)。

では、その車止めの高さに対してクルマそのものの高さはどうか? 多くの人が見るのはカタログの最後の方のページに載っている「最低地上高」だろう。

最低地上高は一般的な日本車であれば、ほとんどのモデルで130mm以上は確保されている(プリウスはFF/130mm、4WD/135mm、普通のアクア/140mm、ノート e-POWERのFF/130mm、N-BOX/145mm、GT-RやNSXといったスーパーカーだと110mm)。

つまり、車止めの高さが130mmで、最低地上高130mmのプリウスであれば、車止めとフロントバンパーが当たることも充分あり得るということになる。

最低地上高が“車の最も低い部分”ではない場合も

写真のように、一部のクルマでは空力パーツなどがバンパー本体より低く、擦りやすい位置に取り付けられている場合もある

しかし、ここで注意すべきは、カタログ記載の最低地上高には大きな落とし穴がある点だ。

そもそも、最低地上高の定義は「ボディを含む構造物以外の可動する部位は対象外」である。そのため、極端に言えばタイヤは当然地面に接しているし、可動するサスペンションのロアアームなどはいくら低くても法的な問題はないのだ。

よく言われる「法規的な最低地上高は9cm」というのは、実際には可動しないマフラーやサスペンションメンバーのボルトなどで測られることが多くなる。

さらにバンパーやエアロパーツに関しては、ウインカーやフォグランプといった灯火類が組み込まれていなければ、最低地上高を測る際の対象外であり、極端に言えばいくら低くてもいいことになる。

これらを踏まえてもう少し深く考えれば、灯火類が組み込まれたバンパーやエアロパーツが付いていても地面から9cm(=法規的な最低地上高)のクリアランスがあれば合法なのだ。

つまり、市販状態のクルマは、一般の使用には基本的に不便がないように配慮されているにせよ、カタログ値の最低地上高とフロントバンパーの地上高は一致するわけではないということになる。

そのため、フロントバンパーと地面のクリアランスが見るからに大きいクルマかSUVやクロスオーバーでもなければ、前進で駐車する時に車止めはアテにならないと考えた方が無難だろう。

実際、アクア(初期型)のフロントの地上高を測ってみると、カタログに載っている最低地上高140mmに対し、バンパー下部は170mm程度あるものの、その奥にある空力性能向上のための「エアスパッツ」と呼ばれるパーツとの地上高は130mm程度となっている。

そのため、ノーマル状態であればバンパーに車止めが当たらくても、エアスパッツと干渉して、バックでクルマを出す際にエアスパッツが引きずられることは十分あり得る。

また、筆者が所有するトヨタ 86(前期型)のフロントバンパーの一番低い部分は130mm程度で輪止めに当たることは多々あるし、GT-RとNSXの最低地上高は同じ110mmでも、真正面から見た地上高はNSXの方が低く見えるのは前述した法規が関連しているのだ。

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