ゴーン体制で消滅も“残すべきだった”日産車
ゴーン体制で消滅した車種は、いずれも販売が伸び悩んだ。従って消滅は当然だったが、クルマ好きには残して欲しい思い入れのある車種もある。
■パルサー(1995-2000年、5代目=最終型)
パルサーはサニーと基本部分を共通化したコンパクトカーだったが、足まわりには欧州車風のセッティングが施され、運転感覚はバランスが良かった。外観も欧州車風に抑制を利かせている。2000年に終了したが、存続すべき車だった。
この後、2004年にコンパクトなティーダが発売された。スポーティではないが、車内は広く、ノートの上級に位置したから内装や乗り心地も上質だった。
それなのに2012年にはノートに統合されて5ナンバーサイズのティーダは生産を終え、2代目は海外向けの3ナンバー車になった。日本では売られていない。
パルサーとティーダは、実用指向のコンパクトカーが多いなかで、走りや質感にこだわる魅力的な車種だった。これを平然とリストラする態度に、ゴーン氏の就任直後とは違う日本市場に対する冷淡さを感じた。「まさか日本を見捨てるのか?」という危機感を抱いた。
■プリメーラ(2001-2008年、3代目=最終型)
1990年に発売された初代プリメーラは、欧州車を連想させる5ナンバーサイズの引き締まったボディを備え、4輪独立式の足まわりも熟成されていた。デザインと走りで高い人気を得たが、1995年発売の2代目は、ほぼ同じデザインで存在感が薄れた。
そして2001年に登場した3代目は、丸みのある独特の外観に刷新されている。走行安定性と乗り心地は、コスト低減が感じられて不満だったが、内外装は新鮮だ。
今の日産が用意するミドルサイズセダンは、地味で走りの大人しい実用的なシルフィだけだ。プリメーラは2008年に3代目で終了したが、初代モデルの路線で復活させて欲しい。
■ステージア(2001-2007年、2代目=最終型)
2代目ステージアは、フロントマスクの形状とボディ全体の造形バランスが悪いが、1996年に発売された初代モデルは、ボンネットが少し長い直線基調の外観が格好良かった。
今の国産ワゴンは欧州メーカーに席巻されているが、ステージアが存続していれば、ミドルサイズのレヴォーグと並んで国産ワゴンの基幹車種になれたはずだ。
■シルビア(1999-2002年、7代目=最終型)
ミドルサイズのクーペで、一貫して後輪駆動を採用した。走りの素性が優れ、1988年に発売された5代目は、端正な外観と相まってヒット作になった。
6代目は3ナンバーサイズに拡大されたが、人気を下げてしまい、7代目で再び5ナンバー車に戻している。2002年には排出ガス規制の対応を迫られたが、堅調に売れる見込みは乏しいと判断されて生産を終えた。
しかしシルビアは、5代目を中心に今も根強い人気に支えられている。ミドルサイズのクーペは86/BRZ程度だから、シルビアも存続させて欲しかった。
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