2019年1月14日から始まる北米・デトロイトショーで、STIのコンプリートカー、S209がワールドプレミアされることはすでにお伝えしたが、現時点でわかっていることをすべて報告しよう。
S209の正式発表は2019年1月14日 午後0:40(日本時間:1月15日 午前2:40)より行われるプレスカンファレンス。すでに公開されているティザー情報ではS209のグリル回りの写真と、覆面テスト車による走行シーンがyoutubeで公開されている。
もちろん、それだけではない。ベストカーWebスクープ班が独自に入手した情報をもとに、S209はどんなクルマなのか、明らかにしていく。
文/ベストカーWeb編集部
写真/ベストカーWeb、Subaru of America
■22B-STIバージョンをリスペクトしたブリスターフェンダーを装着
北米subaruが『From Japan with Love(日本から愛を込めて)』というタイトルをつけた、このティザー映像を見ると、S209はカモフラージュされてはいるものの、その姿がほぼ明らかになった。

1997年、WRCマニュファクチャラーズ部門で3連覇を達成したのを記念して1998年に400台限定で販売されたインプレッサ22B-STIバージョン。手作業によって架装された鋼板プレス製のブリスターフェンダーが特徴
ポイントはブリスターフェンダーだ。1998年に400台限定で販売された22B-STIバージョンの時のように、ブリスターフェンダーが装着されているのだ。装着タイヤは映像を見る限り、S208の255/35R19よりも幅広の265以上のサイズになるだろう。
以前、STI平川良夫社長にインタビューをした時、「STIのコンプリートカーは22B-STIバージョンから始まりました。あれから30年が経ちました。これを一つの区切りとして、また新たなSTIがスタートするのに先立ち、22Bを彷彿とさせるワイドフェンダーを装着したSTIコンプリートカーを作りますので期待して待っていてください」とおしゃっていたが、現実のものとなったようだ。
フロント回りでは、フロントバンパー左右の2段のカナードが装着されている。リアウイングはS207やS208のNBRチャレンジパッケージ仕様と同様、ドライカーボン製となる。

S209のドライカーボン製リアウイング。おそらくS207やS208の時と同様、NBRチャレンジパッケージ仕様が設定され、ドライカーボンルーフが装着されるとともに、ドライカーボンウイング仕様、ドライカーボン製トランクスポイラー仕様が設定されるだろう
■S209は北米のみの販売で日本はなし!
エクステリアのスタイルはおおまかながら、ある程度わかったところで、S209の概要にもっと踏み込んでいこう。
日本のスバリストがすでに疑問に思っていること。そう、S209がなぜ日本ではなくアメリカ・デトロイトショーで発表されるのかということ。これまでのSTIコンプリートカーは日本企画で、日本だけで販売されてきたのになぜ? と思っている方も多いだろう。
また、S208に続くS209だから、日本でも販売するのでは? と期待をしている方も多いだろうが、日本での発売は一切考えていないという。
これを聞いた時にはさすがにがっかりした。今後はSTIブランドを日本だけでなく、アメリカで本格的に販売していく、第一歩にしていこうという意思表示なのだろう。
そもそもこのS209の商品企画は、スバル・オブ・アメリカの主導で行われてきたそうで、以前からSTIコンプリートカーの発売を待ち望んでいたスバリストの声を反映したものだという。
■肝心のエンジンはEJ20ではなくEJ25で345psに向上
さて、注目のエンジン。S209のベース車は北米仕様のWRX STIだから、搭載されるエンジンは日本のSTIに積まれている2Lフラット4ターボのEJ20ではなく、2.5Lフラット4ターボのEJ25をチューニングしたものになる。
S208やタイプRA-RのEJ20は、ピストン&コンロッドの重量公差を量産エンジンとしては極限まで詰め、クランクシャフトやクラッチカバー、フライホイールのバランス取り、専用ECU、インタークーラーウォータースプレー、低背圧マフラーにいたるまで、専用チューニングが施されているが、S209もS208と同様、STIによって専用チューニングが行なわれる。
ベースのEJ25は310ps/40.2kgmだが、S209に搭載されるEJ25は専用ECUや各部のバランス取り、低背圧マフラーなどによって、345ps/44.0kgm程度に向上しているという。
もちろん、S209は“Sシリーズ史上最高の性能と質感を実現した究極のドライビングカー”を実現すべく、スバルとSTIが共同開発し、外装・内装にも専用装備を追加したSTIコンプリートカーのトップエンドモデルだから、走りの質感は相当高いものになっているのは間違いない。
S209の商品企画はスバル・オブ・アメリカだが、ブリスターフェンダーをはじめ、エンジン、シャシーなどの開発・生産は日本にあるスバル・テクニカ・インターナショナルの製作所で行なわれるという。気になる販売台数は、限定300台、400台レベルになるというから、即完売必至。
詳細は2019年1月14日、STI平川良夫社長自ら会見を行う、公式発表の場で明らかにされるので、追ってお伝えしよう。
ただ、S209に続くSTIコンプリートカーとして、EJ20をベースとした350〜380ps級のスーパースポーツが日本で販売される、という情報を掴んでいるので、今回S209が日本で発売されず、嘆いている人は安心してほしい。そのモデルにも、S209と同様のブリスターフェンダーが装着されるのは確実だ。早ければ、2019年後半には発売されるだろう。期待して待っていてほしい!
■STIコンプリートカーはすべて即完売!
最後に近々にリリースされてきたSTIコンプリートカーを紹介しておこう。これらのモデルはすべて限定モデルで、いずれも即完売している。
また、メーカーという枠を超えて、群馬県のスバルディーラーや南アフリカ・スバルが独自にコンプリートカーを発売する新たな動きが出てきている点にも注目。
やはりSTIが製作したコンプリートカーの台数が絶対的に少ないことは明らかで、需要に対して、供給が追いついていないから、こうした動きが出てくるのだろう。
■S207 限定400台 発表日当日完売

2015年10月28日発表、10月29日発売。2016年3月6日までの受注期間で限定400台。内NBRチャレンジパッケージ限定200台、内NBRチャレンジパッケージ・イエローエディション限定100台 価格:S207/599万4000円、S207NBRチャレンジパッケージ/631万8000円、S207NBRチャレンジパッケージ・イエローエディション/637万2000円。 EJ20エンジン:328ps/44.0kgm。車両重量:1510kg。タイヤサイズ:255/35R19
■S208 限定450台 2619名の応募があり抽選販売

2017年10月26日発表、11月12日までの期間限定450台。内NBRチャレンジパッケージ仕様は350台。価格:S208/626万4000円、S208NBRチャレンジパッケージ・カーボントランクリップ仕様/689万400円、NBRチャレンジパッケージ・カーボンリアウイング仕様/710万6400円。EJ20エンジン:329ps/44.0kgm。車両重量:1510kg。タイヤサイズ:255/35R19
■WRX STI タイプRA-R 限定500台 発売開始から2時間で完売
■富士スバル WRX STI TC380 限定50台 完売
■南アフリカ・スバル WRX STI ダイヤモンドエディション 限定50台 完売