■衝突安全性能評価は満点が100点に変更
いっぽうの衝突安全性能評価は、衝突試験による乗員保護性能をはじめ、歩行者保護性能、シートベルトリマインダーなどを総合的に評価。その評価試験の内容に変更はないが、合計点は2017年度の208点満点から100点満点に変わったのがトピック。
2018年度前期は、乗用車4車種が公表された。その結果は下表のとおり、最高ランクである5つ星評価の「ファイブスター賞」を4車種とも獲得。
最高得点だったのは三菱のエクリプスクロスで89.7 点。続いて、カムリ/アルティスが85.5点、クロスビーが85.2点、オデッセイが83.9点を達成している。
■自動車アセスメント結果の疑問点は?
TEXT/西村直人
2018年度自動車アセスメントの結果は上記の表などで紹介してきましたが、その採点結果のなかには「これはなぜ?」と気になる部分もみられました。そんな疑問点に加え、今時の予防安全性能についての疑問点に、先進安全システム事情に詳しい自動車評論家の西村直人氏が答えます!
■対歩行者被害軽減ブレーキは夜間テストがあるのに対車両にないのは?
そもそも夜間、車両に対して衝突被害ブレーキが作動するのかという疑問があるだろう。結論からするとYESだ。
しかし、次の限定条件が付く。センサーがミリ波レーダーの場合は、電波を使用しているため物体を認識することができれば明暗問わず対応可能。降雨時や降雪時の対応も昼間と同じだ。一方、センサーが光学式カメラのみの場合は、形状に加えて前方車両の尾灯やブレーキランプが認識できることが条件。
ヘッドライトの照射範囲に前走車が入れば認識率はさらに高まる。ちなみに、すれ違い前照灯は40m、走行用前照灯は100mの照射範囲が基準。
ということで、対歩行者に夜間が採用されたのに、対車両にはないという疑問に対する答えは「すでに対応済みだから」となる。
■夜間歩行者被害軽減ブレーキ評価の満点車と、満点じゃないクルマの差は?
夜間の対歩行者被害軽減ブレーキテストは道路横断中の歩行者に30~60km/h(テストは5km/h刻み)で近づいた際、停止するか否かをテストするもの。対向車がいない道路で前方右側から歩行者が横断する場合(CPF)と、対向車とすれ違った後に歩行者が横断する場合(CPFO)の2種類を行う。
対歩行者テスト(65点満点)のうち、40点が夜間テスト分。例えば、夜間満点のカローラスポーツと夜間37.8点のフォレスターでは、CPFOシナリオで2.2点の差。具体的にはフォレスターは50km/hの試験時に15~20㎞/h程度で歩行者と接触したが、カローラスポーツは50km/h試験では完全回避。60km/h試験でも3回テスト中2回は回避(1回は16.9km/hで接触)している。すなわちこれが性能差となった。
■踏み間違い加速抑制評価の満点車と、満点じゃないクルマの差は?
アクセル/ブレーキのペダルを踏み間違えてしまった際、踏み間違い加速抑制装置によって1m先の障害物と接触する前に停止できるか、または接触した場合でもどれくらい速度を落とすことができたか? これを前方と後方の両方でテストし、前/後それぞれに障害物なしのテストも行うので合計試験は4種類。
例えば、2.0点(満点)のフォレスターは前方を複眼式光学カメラセンサー、後方を超音波ソナーセンサーで障害物を認識し、前後とも接触せずに完全停止。対して、1.2点のN-VAN(センサーは前/ミリ波レーダー、後/超音波ソナー)では、同条件の障害物に対して前4.8km/h、後4.9km/hで接触している。しかし、これでも障害物なしテストの比較では約3km/hの速度低減効果が図られている。
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