■PART3/平成のスポーツカーに賞典を贈りたい!
いわゆるスポーツカーらしいルックスを持ったスポーツカーを対象に、ここまで進めてきた本企画。前ページでは「総合力」という観点で10ベストカーを評論家に選出してもらったが、ここではあるテーマに基づいたトップ3を選出してもらった。
スタイル、ハンドリング、コストパフォーマンス。ちょっと変わったところでは「期待を裏切られたスポーツカー」なんていうテーマもある。
各評論家が選んだモデルを見てもらえれば、現在でも新車で買えるモデルが何台か選出されていることに気づくと思う。
スポーツカー不遇の時代などと言われる昨今だが、実は魅力的なモデルもちゃんと存在しているのだ。
それらのクルマは今この瞬間より、10年というような時を経た後に「名車」と言われている可能性が高い。平成年間最終コーナー、スポーツカーファンは実は幸せな時代に生きているかもしれない。
平成30年間で96台の国産スポーツカーが登場していながら、手放しで「カッコイイ!!」と言えるモデルがあまりにも少ないことに、改めて愕然としました。中身も含めればいいクルマは多数なれど、デザインだけ見て「ステキ……」とウットリできるクルマはメチャメチャ少なかった。
そんななか、手放しで「最高!」「世界一!」と言えるのが、1位に選んだ4代目ロードスターだ。スポーツカーに求められる色気がムンムンでありながら、青春感覚もビンビンの、若々しく熟した官能的なスタイリングはスバラシイ。
2位はS660。この小ささでバランス抜群のフォルムを実現しているのはスゴイ。3位は平成3年登場のスバルアルシオーネSVX。なにしろジウジアーロ様ですから。
ライトウェイトスポーツといえば、どうしたってロードスターを外すわけにはいかないが、問題はどの世代を代表として選ぶか。初代が偉大なのは言うまでもないが、各世代ごとにそれぞれ個性があってみな捨てがたい。
悩んだ結果、やっぱり「新しいほどクルマとしてよくできている」という当たり前の理由で、現行NDロードスターをベストに選出した。
ビートもS660と迷ったが、これは当時の華やかな記憶がビートに味方した感じ。懐古趣味でスイマセン。
スイスポは誰にでも薦められる優れた〝練習機〟である点を評価した。特に3代目はNAならではの自然な乗り味が秀逸。いまだに最高のドライビングトレーナーだと思う。
コーナリングスピードの速さではなく、作り手が走りのイメージを持って作り、そのイメージを読み取りながら操ることの面白さを持っているのがロードスターだ。人馬一体感は別格的に突出しているNA型初代ロードスターを1位に選んだ。
速さが評価の柱になりがちなスポーツカーにあって、操ることの面白さを持ち込んだという点で初代ロードスターの操縦性は別格的に突出している。
初代シビックタイプRは、現行ゴルフより約10年早くリアサスを積極的に使った操縦性を作り出していた。その精度の高さは、今のホンダのFFハンドリングの出発点だ。
3位に選んだFD3S型RX-7は、フロントミドシップの教科書的な操縦性を持つ。特に最終型は前後重量配分とサスストロークを巧みにバランスさせた操縦性に仕上げられていた。
1位は1.8Lエンジンを搭載するミドシップスポーツカーのMR-Sだ。価格は最廉価のBエディションなら168万円(税抜)。今のホンダS660が183万4000円(税抜)だから、激安のスポーツカーだった。
2位は初代シビックタイプR。最高出力が185psの1.6L、VTECエンジンを搭載して、峠道では抜群に速い。価格は199万8000円(税抜)だから、現行型の416万7000円(税抜)に比べると半額以下だった。
3位はダイハツストーリアX4。モータースポーツのベース車で、713ccのターボと4WDを搭載する。前後輪にLSDも備えて価格を139万円(税抜)に抑えた。以上のような低価格のスポーツカーは、今の時代にも絶対必要だ。
平成元年10月に登場した2代目MR2の限界域での挙動はいまだに謎。格別トリッキーという印象はないのに、リアが滑り出すとダラダラととめどなく流れていって、最終的にスピンまでいってしまう。それを防ぐには、とにかくリアの滑りを最小限にとどめることしかない。
1993年登場のS14シルビアは、S13のデザイン完成度があまりにも高かったのが不運。走りが圧倒的によければ別だが、カッコ悪くなって走りも大差なしじゃガッカリ。これほど誰にも歓迎されなかったモデルチェンジも珍しい。
NB型ロードスター(1998年登場)については、これまた初代があまりに偉大だったことの反動。NA型のあの可愛らしいキャラクターが、みんな好きだったんだよね。
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