【RX-7 フェラーリ…】今のうちに!! 絶滅寸前のリトラクタブルヘッドライト車たち

■実はリトラクタブル車は意外に存在感がなかった!?

ベストカー市原が乗っていたフェラーリ348tb

フェラーリの場合、リトラ用モーターが故障したときは、工具を手動でキコキコ回して開閉させることもできる。私が最初に買ったフェラーリだった348tbは、後にベストカー市原が買い取ったが、リトラ開閉機構が故障。怠慢ゆえにずっと手動で開閉させていたという。

実はリトラ車のオーナーは、あまり愛車がリトラを上げた状態を見ることがない。たいてい自分で運転するので、運転席からは見ていても、外から眺める機会が非常に少ないのだ。よって、リトラが上がった状態がどんな姿か、あまり印象に残っていなかったりする。

思えば合計3台買ったフェラーリ512TRは、リトラの位置がノーズ先端に近く、しかも上げると丸形ヘッドライトの周囲の部分がボディ同色で、ライトオンした姿はあまりカッコいいとは言えなかった。が、自分では見ないので、まったく気にならなかった。

オーナーにとっては、リトラというのは意外に存在感がなく、車庫入れの際に出せばコーナーポール代わりになって便利だな、くらいだったりする。考えてみたら、わざわざリトラを上げて、消灯時に隠れている部分を掃除した記憶もほとんどない。

スーパーカーブームは、日本の自動車業界に巨大なインパクトを残した。非現実的な夢のクルマへの憧れという遺産を残したのだ。その象徴がリトラだった(断言)。

リトラ=夢だったのだ。

おかげでその後、国産車にも次々とリトラ車が登場していく。そこで、個人的にカッコいいと思う、今乗っておきたい国産リトラ車を5台挙げてみよう。

■今乗っておきたい国産リトラ車5選

■サバンナRX-7(1978年)

1978年に登場したサバンナRX-7はチープポルシェといわれたが軽量でローターリーエンジンならではの個性が光っていた

フェラーリとランボルギーニ、合計して10台もリトラ車の所有経験がある私だが、実は生涯最初に興奮を覚えたリトラ車は、初代サバンナRX-7だった。

発表された1978年当時、スーパーカーブームはすでに収束していたが、いまだリトラ熱は冷めていなかった。そんな時、いつか手が届くかもしれない国産スポーツカーに、カッコいいリトラ車が登場したのだ!

当時私はまだ免許のない高校生だったが、サバンナRX-7のCMの中で、リトラが上がって丸型2灯ライトが点灯するシーンを見、体に電気が走る思いだった。「まさかスーパーカーみたいな国産車が出るなんて!」と思ったものだ(国産でもトヨタ2000GTは別格)。

丸型2灯のリトラは、コンパクトでシンプルなサバンナRX-7のボディに非常によく似合っていた。丸形2灯というのは、それだけでどこかかわいらしい風情が漂うので、戦闘的なセブンがリトラを上げた時の愛くるしさのギャップがステキだった。

思えば、国産最後のリトラ車は、2002年8月まで生産された3代目 RX-7(FD3-S)。つまり、国産リトラの歴史は、セブンに始まりセブンに終わったと言ってもいいだろう。

2代目FC-3S、3代目FD3-Sへ引き継がれていったリトラクタブルヘッドライトは2002年8月で終了

■初代ピアッツァ(1981年)

G・ジウジアーロがデザインしたいすゞピアッツァ

ヘッドライトカバーが上がるセミリトラクタブルヘッドライト

ヘッドライトの一部がカバーされるのみのセミリトラクタブルながら、あまりにもカッコよかったので、ランキング入りさせていただきます。

なにしろこのクルマは、ジウジアーロによるデザインがすべて。セミリトラはほんのわずかにカバーが持ち上がるのみだが、しかしそれが逆に特別感を引き立てていた。

■初代MR2(1984年)

1984年に登場したAW11型MR2

国産初のミドシップスポーツにしてリトラ。つまり、スーパーカーの文法を忠実に再現しているが、直線基調のコンパクトなボディは実に日本的で、かわいい丸型2灯のリトラがとてもよく似合っていた。フロント部だけを見ると後のコルサ/カローラⅡソックリだったりするが、断じてそれらとは違う。

■4代目”流面形”ST165型セリカ(1985年)

『私をスキーに連れてって』で一躍メジャーになったST165型セリカ

小振りなリトラクタブルヘッドライト

ST165型セリカのデザイン全体の美しさは、まさに流面形。ヘッドライトは、グリル同様一部が黒く塗装され、存在感を隠すタイプのリトラだった。同様の例に2代目プレリュードがある。

後に追加されたセリカGT-FOURは、硬派的にはWRCチャンピオン、軟派的には『私をスキーに連れてって』で大活躍。スーパーカー的なリトラとは一線を画した、肩肘張らないライトなリトラが実にカッコよかった。

ちなみに、個人的にはこのセリカがリトラを上げた姿というのがまったく記憶になく、今回初めて画像を検索して発見し、「こんなにちゃんとしたリトラだったのか!」と驚愕した。

■初代ユーノスロードスター(1989年)

マツダ自らがレストア事業を行っているユーノスロードスター

これは言わずもがな。コンパクトでキュートなオープンボディは、丸形2灯のリトラを上げると、さらに愛らしく見えた。リトラ的見地に立つと、これこそサバンナRX-7の正当な後継車だった気もする。

ロードスターは、リトラあってこそという部分があったようにも感じる。そのせいか、2代目、3代目ロードスターは、どこかしっくり来なかった。

ロードスターのデザインが、リトラからの完全脱皮に成功したのは、現行の4代目からだ。四半世紀もかかったってことですね。

次ページは : ■1980年代以降、大衆車のリトラまで登場!!

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