■自動車保険業界の動きは?
今後、ますます国内でも猛威をふるっていきそうな気配のリレーアタック。その背景には窃盗団の手口が巧妙化し、組織化されていることが挙げられる。
本来、ディーラーなどの業者以外、入手しづらかった専門の機械などが容易に入手できるようになったことも後押しする。
もはやスマートキーを採用するモデルのオーナー全員が、このリレーアタックによる愛車の盗難危機にさらされていると言っても過言ではないだろう。
現在のところ、損害保険会社各社ではまだリレーアタックに特化したような保険商品は出ていないようなのだ。しかし、盗難補償のある任意保険に入り直すことによって泣き寝入りを防ぐことはできるはず。
そうなると金額的には負担が増えてしまうのは避けられないのだが、愛車を盗まれてローンだけが残る……なんて「泣きっ面に蜂」状態になる前に、任意保険の変更を検討してみるのもいいだろう。
■電波を遮断するポーチや缶にスマートキーを入れれば防げる!
TEXT/国沢光宏
2017年の早い時期からベストカー本誌の達人コラムで紹介したリレーアタックが、やっと社会問題になり始めた。
2018年秋に発生した盗難未遂事件、防犯カメラはしっかり残っており、警察もリレーアタックの存在を認めざるを得なくなったからだ。
警察が認めない段階ではテレビや新聞など大手メディアも「証拠なし」ということで報道しない。逆に、大手メディアで扱われるようになれば認知度は急上昇する。
「押し寄せた危機」を放置し続けた代償は大きかったと思う。2017年も2018年も下を見て3000台程度がリレーアタックで盗まれていると考えていいだろう。
というか、車両を盗んで換金できるバリューのあるクルマって、基本的にスマートキーの採用車種。そしてスマートキーのクルマを短い時間で音も立てずに盗む手段はリレーアタックしかありません。
今回さらに「これは問題ですね!」と感じたのは、未遂現場が一方通行の生活道路であり、しかも3回も盗まれそうになったこと。
つまりブラックマーケットに高く買い取る車種のリストと、その保管場所のデータが存在するということにほかならない。
東大阪のレクサスLSの場合、3つの窃盗グループに狙われたと考えるのが妥当。失敗したら2度と同じクルマは狙わないでしょうから。
絶対的な台数が少ないため、あまりニュースになっていないけれど、GT-RやWRX STIなどもリストに入っている可能性大。
もちろん毎年1000台規模で盗まれているプリウスや(2代目モデルのマイナーチェンジモデル以降全数スマートキー)、ランクル、ハイエースもブラックマーケットの「買い取り優遇!」リストに入っていることだろう。海外で人気のあるクルマは要注意だ。
また、東大阪の盗難未遂事件で新しいリレーアタックの道具が使われている。今までリレーアタックで使われていた道具はスマートキーの微弱電波をキャッチするため、キーから1mくらいの距離まで接近しなければならなかった。
ドアから1m以内の玄関にスマートキーを置かなければよかった、ということです。けれど東大阪で10m距離あったスマートキーの電波を抜かれた!
家のなかのどこに置いてもリレーアタックされてしまう、ということになる。もっと言えば、ファミレスやショッピングモールだって危険。ファミレスのなかでブラックマーケットで「高く買います」のクルマに乗った人を、アンテナを広げた状態で待つ。
狙ったクルマが駐車場に止まり、ファミレスの店内にスマートキー持った状態で入ってくれば、その時点で仕事完了。
窃盗団の相方が車両のドアに触れればロックが開き、リレーアタックの〝道具〟持ったままドライバーズシートに座り、スタートボタン押すとエンジンがかかり走り出せてしまう。
ショッピングモールだって同じ。10m離れた場所でスマートキーの電波を盗めれば、まったく気づかれない。もはや人混みはすべてリレーアタックされる可能性を考えなくちゃならんです。
もちろん車上荒らし(置き引き)だって簡単。盗難車両を換金しようとしたら規模の大きい組織じゃないとダメ。
けれどアウトレットで買ったブランド品などを盗めば(リレーアタックならロックしていないのと同じ状態になる)、換金のハードルはググッと低くなる。盗人入門クラスの新米だって犯行可能。個人的には置き引きの被害がすでに出ていると予想している。
被害防止策は簡単。スマートキーから電波を出さないようにすればよい。家のなかに保管するなら金属製の缶に保管する。
人の多い場所に行く際はスマートキーを電波遮断ポーチ(100円均一の携帯用灰皿も有効)に入れる。
缶もポーチも事前に電波が漏れないかテストすることも忘れずに。5㎝の距離でドアロック解除できなければリレーアタックを喰らう心配はないのだ。
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