『タイヤ空気圧モニタリングシステム』が最近にわかに注目されている。
TPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)などと略されて呼ばれることもあるけれど、要するにタイヤのエア圧が低下した際に、インパネなどに配した警告灯を点灯させてドライバーに知らせるメカニズムのこと。
タイヤのエア圧の低下はクルマにとっていいことはひとつもない。
- ・エア圧の低下によりタイヤが撓み走行抵抗が増えることによって燃費が低下する
- ・極端なエア圧低下は高速走行時にスタンディングウェーブ現象を誘発し、タイヤバーストの危険が増える
- ・バーストには至らなかったとしても、エア圧の低下によりサイドウォールに負担が掛かりタイヤが劣化する
- ・偏摩耗を誘発する
- ・操縦性が悪化する
まだまだいろいろな悪影響がある。とにかく、エア圧低下はなにひとついいことがない、のである。
国交省が明らかにした調査結果によれば、無作為に調査した街中を走る一般車のタイヤエア圧は、5〜10%程度指定エア圧よりも低下した状態の車両が30%近くもあったという。さらに20%以上低下していた車両も10%以上あったという。タイヤの内圧は自然に低下していく。1カ月で1〜2%程度低下するというから、半年も点検せずにいると、5〜10%低下していることも珍しくはないのだ。
欧米では装着義務化されたTPMSだが、日本では・・・
アメリカではいち早く、’07年よりTPMSの装着が義務化されている。これは、’00年に発生した、タイヤエア圧低下に起因する重大事故、タイヤリコール問題を受けて法整備されたもの。アメリカ国内で販売される新車について段階的に装着が義務化されていき、’07年9月から完全義務化となっている。つまり、日本車も含めて現在アメリカ国内で市販されているクルマはすべてTPMSが装着されているということだ。
欧州でも’12年に装着義務化が決定され、今年11月以降に販売される新車にTPMSの装着が義務化されている。したがって、ベンツもBMWもVWもTPMSが標準装着されており、日本で販売される各車も当然のように標準装着となっている。韓国も’13年には装着が義務化されているし、中国や台湾でも義務化へ向けた動きが進んでいる。特に欧州では、エア圧の低下が燃費の悪化に直結する点を重視し、TPMSの義務化を推進したという経緯がある。
では日本はどうなのか!?
「現在義務化を検討中」というのが国交省を始め経産省や自工会などの回答。「低燃費タイヤ等普及促進協議会」が’09年1月に設置されており、検討の俎上に上がっているようではあるが、具体的に進捗状況は現時点ではハッキリとしていない。ただ、現時点でもランフラットタイヤについては、内圧が極端に低下した状況でもドライバーが認識しにくいため、TPMSの装着が義務化されている。
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