月極駐車場などでよく見かける「無断駐車お断り」の看板。たいていの看板には無断駐車した場合、1万円や5万円といった法外な駐車料金を請求しますと、書いてある。
たしかに無断駐車するのは迷惑千万! だからといって、法外な駐車料金を請求するというのも疑問が残る。
駐車場の看板を見たうえで停めたのだから、承諾したと受け取られ、看板に書いてある料金を支払わなければいけないのか?
今回、専門家である弁護士にも話を聞き、詳細にわたって、モータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説する。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーWEB編集部
警察は法的に対応できない!
公道上の長時間(期間)の駐車は道路交通法や車庫法(正式には「自動車の保管場所の確保等に関する法律」)違反で取り締まりを受けるいっぽうで、大前提として理解しておくべきことは、無断駐車については警察が法的にこの種の事案(トラブル)に関与できないことだ。
各警察では相談を受けて、注意を促す例はなくはないようだが、法的処分はできないことに変わりはない。
私有地での無断(不正)駐車のパターンとしては、下記の3つが挙げられる。
・コインパーキングなどの時間貸し駐車場で料金を払わず不法出庫する場合や料金を精算するフラップの手前で不法駐車し料金を支払わないケース
・コンビニエンスストアなどの駐車スペースに長時間駐車
・定期契約の月極駐車場に契約車以外のクルマを無断に停める
コインパーキングでの対応について、某有名コインパーキング会社に問い合わせてみると「弊社規定に基づき対応しております」の一点張りで、対処方法については具体的な回答を得られなかった。
勝手に想像するに、担当部署が警備会社などを通じて対処するのだろうが、「民事不介入」の立場を採る警察に頼れない分、独自のノウハウ(手段)が要るということだろう。
フラップ(クルマ止め)などを超えずに停車したままにするようなケースでは、駐車料金に見合った請求を実施するはずだ。
最近では、コインパーキングの敷地内に時間貸し駐車と月極駐車場のスペースが混在するケースがあり、うっかり月極駐車場のスペースに停めてしまって、あとで駐車場管理会社から請求されるケースも増えてきている。
調べを進めていくと、刑法の威力業務妨害罪や軽犯罪法に問うことはできそうだが、あくまで“可能性がある”というレベルといえる。
コンビニエンスストアでの無断駐車のケースでは、近隣に時間貸駐車場がない場合にクルマを一定時間駐めようとして、コンビニの利用前後に長めに駐車するというのは、マナー違反になるのは当然だ。
どれほどの時間なら許されるといった明確な基準はないが、あくまでもコンビニで商品を買うための駐車スペースである。
最近では、コンビニの駐車場に無断駐車を続けた業者に対して、多額の損害賠償請求を認めた裁判があった。
コンビニの駐車場に継続して最大2台のクルマを駐車し続け、合計1万1000時間を超える無断駐車をしたことに対する損害賠償請求が行われ、訴えが認められた。
具体的には、駐車場料金を1時間700円として算出し、弁護士等の費用150万円ほどを追加して 920万円の損害賠償請求の裁判が行われ、原告の請求額が満額認められた。
駐車場代金の相当額は計算上は約780万円だが、弁護士費用+慰謝料として150万円が加算された点が注目される。
通常、弁護士費用は請求額の1割程度なので78万円と推測されるが、さらに70万円程度の慰謝料が認められている。
コメント
コメントの使い方権力者と犯罪者にやさしい日本の司法、バカだろwww