「安全機能付き高齢者限定免許」創設決まる!
政府は、2019年6月18日の関係閣僚会議で、認知機能検査と高齢者講習が義務付けられている75歳以上を対象とした、高齢者向けの免許制度の創設を決めた。
免許証にAT限定免許のような条件を加えて、衝突被害軽減ブレーキや踏み間違い加速抑制防止装置、車線逸脱防止装置などの運転費補助装置がついたクルマに限定するようだ。 このペダル踏み間違い抑制装置には性能認証制度を設けて、性能の高い装置の普及を図るという。
一律に義務付けるのは困難との見方もあり、義務化するのではなく、選択制になる見込み。
具体的な制度設計は今後詰めて2019年度中に詳細を固め、2020年度以降、早期の実現を目指すという。
ただ、高齢ドライバーが新たにペダル踏み間違い加速抑制装置が装着された新車を購入できるのか?
現在乗っているクルマにペダル踏み間違い加速抑制装置を後付けにした場合でも、安全に装着されたかどうかの検査や、補助金を出すのかなど、細かい事項も決めていかなくてはならない。
一定の年齢以上は免許試験を受け直す制度にすべき
運転免許は一度取得したら、その後は運転する権利を得ていると思っているドライバーも多い。
しかし実際には免許というのは、本来は運転できるだけの知識と身体機能、技能を有していることの証明であるから、どれか1つでも欠けてしまったら免許の効力が失われるべきものなのだ。
重大な交通事故を起こしたり、交通違反を繰り返して免許取り消しになるのも、運転する能力が低いからであり、同じように老化によって運転する能力が低下してしまったら、免許の効力を失うのはしかたのないことだ。
しかし、これを認知能力が低下してきた高齢ドライバーに理解してもらうのは難しい。
一律に年齢で制限してしまうと、地方でクルマを仕事で使っている高齢者が困ることにもなりかねない。
それに今後、企業の定年がさらに引き上げられたら、リタイアして数年ですぐに運転することができなくなってしまう状況に陥ってしまうのも困ることになる。
今後の高齢化社会を支えるのは高齢者自身であり、経済活動をしてもらわないと国内景気はどんどん右肩下がりに急降下していってしまう。現時点でも高齢者の経済活動は、巡り巡って日本の景気を支えている部分もある。
前述したが、現在、政府が新設を検討している75歳以上の高齢者向け運転免許は、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い加速抑制装置を装備したクルマに限って運転できるとする限定条件付きの免許。
しかも選択制が導入されるという情報もあり、自ら条件付きの免許を選ばなければ効力がないことになる。
それでも効果がないとは言わないが、根本的な解決策とはならないのではないだろうか。
しかも、実際に施行されるのは2020年以降と言われている。そんな悠長なことをせずに来年、2020年度(2020年4月~)から施行してほしいものである。
現行の免許制度が制定された頃には、平均寿命が80歳を超えるなんてことは、ましてやそんな高齢者がクルマを運転することは想定されていなかった。それも、今の高齢者ドライバー問題が抱える歪みの原因の1つだろう。
やはり解決策としては、一定の年齢以上になったら運転免許を取り直す制度を作るべきだろう。それによって安全に運転できる能力があるかキッチリと判断してもらえる。
現在行なわれている高齢者向けの講習や、認知検査などより合格のハードルは高くなるが、そうしなければ高齢者ドライバーによる交通事故を減らすことはできないと思う。
例えば、以下は筆者の私案だが75歳になったら、現在の運転免許更新期間と同じように誕生日の前後1カ月間は運転しながら免許センターや試験場へ通い、免許試験を受けられるようにして、無事に合格すれば3年間の期限付きで免許を発行する。
3年後には同じように運転免許試験を受けて合格すれば再び免許が発行される。これを繰り返すのだ。もし免許試験に受からなければ、教習所で練習すればいい。もちろん免許所持者は毎年、認知症や身体能力のチェックを受けることも必要だ。
こうして高齢ドライバーも努力して免許資格の維持を目指す時代になっていくことで、高齢者はより活動的になって、日本全体が健康的で明るい未来に向かっていくことにつながらないだろうか。
ペダル踏み間違いによる急発進を抑制する装置が注目されているが、75歳以上の高齢者ドライバーのクルマは、急発進自体ができない、最高速度も50km/h程度に抑制してしまってはどうだろう。
実際、海外には運転の時間帯や場所、速度などを限定する免許もある。安全機能に加え、こうした限定条件を加えるのもいいのではないだろうか。
今回の閣僚会議では、公共交通機関が少ない地方などで、高齢者が自らクルマを運転しないでも暮らせる社会づくりも進める方針も決まっている。
具体的には全国で「相乗りタクシー」を導入したり、地方で自家用車が有償で客を運ぶ「ライドシェア」の規制を緩和したりする。自動運転バスの実用化に向けた検討も進めるという。
外装もクッション性の高い柔らかい素材で構成されたマイクロEVの試作車などは、まさに高齢者ドライバーが運転するには理想のクルマといえそうな存在だが、マイクロEVの制度自体の整備が進んでいないことから、こうした新規格のモビリティは日の目を見てはいないことは非常に残念だ。マイクロEVの普及も考えてもらいたいものだ。
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