■長距離なら他の輸送機関へ切り替えのチャンス!
トラックドライバーが足りずに荷物が運べないとなった場合、他の輸送機関への振り替え(いわゆるモーダルシフト)は、どれくらい可能なのか。
トラックの代役として真っ先に思い浮かぶのは、鉄道だろう。しかし鉄道へのモーダルシフトの可能性は、わずかしかない。
そもそも、鉄道による貨物輸送のシェアは、現在トンキロベース(輸送量×距離)でわずか5%程度に過ぎない。約5割が自動車、約4割が内航海運。つまり日本では、クルマと船で大部分の貨物を運んでいる。
1965年の段階では、鉄道(ほぼ国鉄)による貨物輸送が3割を占めていたが、道路整備が進むにつれてトラック輸送が増加し、現在に至っている。かつて日本では、小荷物は鉄道で運ぶしかなかったが、国鉄はそれにあぐらをかいて利便性の向上を怠ったため、宅急便との競争に完敗して衰退し、コンテナ輸送に特化を図った。
その後国鉄は分割民営化され、貨物部門はJR貨物の分担となったが、路線はJRの各地域会社に割り当てられたため、JR貨物は線路を借りて走る立場となった。JR地域各社は旅客部門に力を入れ、大都市部では貨物専用線を旅客用に転換。東京では埼京線(山手貨物線)がその代表だ。
現在、大都市部の路線は旅客列車が過密ダイヤを組んでいるため、貨物列車の大都市中心部への乗り入れ枠は限定されており、広げる余地はわずかしかない。現在約5%の輸送シェアを6%に増やすことができたとしても、焼け石に水だ。
欧米で鉄道が貨物輸送の大きな担い手となっているのは、旅客輸送における鉄道のシェアが日本に比べ圧倒的に小さく、その分線路が空いているからだ。日本で貨物列車を大増発するのは、もはや不可能だろう。
コメント
コメントの使い方トラック運転手のなり手がいないのは、荷物の扱いも問題です。
運転手が、詰むときに荷室に直接積む「平積み」を荷主が依頼し、その積み下ろしを運転手にさせて手間がかかって時間がかかるのが問題。
だから、荷物をパレットや台車に積んで積み下ろしの時間を短くし、運転手の負担を減らさないとダメだといえる。また、賃金も安すぎる。
運送方法を工夫して、賃金を上げなければ、物流は止まることになる。