トラックドライバー不足による2024年問題の解決策をズバッと考察してみた!【清水草一の道路ニュース】

■長距離なら他の輸送機関へ切り替えのチャンス!

 トラックドライバーが足りずに荷物が運べないとなった場合、他の輸送機関への振り替え(いわゆるモーダルシフト)は、どれくらい可能なのか。

 トラックの代役として真っ先に思い浮かぶのは、鉄道だろう。しかし鉄道へのモーダルシフトの可能性は、わずかしかない。

 そもそも、鉄道による貨物輸送のシェアは、現在トンキロベース(輸送量×距離)でわずか5%程度に過ぎない。約5割が自動車、約4割が内航海運。つまり日本では、クルマと船で大部分の貨物を運んでいる。

物流業界の現状についてまとめたデータ   資料/国土交通省
物流業界の現状についてまとめたデータ   資料/国土交通省

 1965年の段階では、鉄道(ほぼ国鉄)による貨物輸送が3割を占めていたが、道路整備が進むにつれてトラック輸送が増加し、現在に至っている。かつて日本では、小荷物は鉄道で運ぶしかなかったが、国鉄はそれにあぐらをかいて利便性の向上を怠ったため、宅急便との競争に完敗して衰退し、コンテナ輸送に特化を図った。

 その後国鉄は分割民営化され、貨物部門はJR貨物の分担となったが、路線はJRの各地域会社に割り当てられたため、JR貨物は線路を借りて走る立場となった。JR地域各社は旅客部門に力を入れ、大都市部では貨物専用線を旅客用に転換。東京では埼京線(山手貨物線)がその代表だ。

 現在、大都市部の路線は旅客列車が過密ダイヤを組んでいるため、貨物列車の大都市中心部への乗り入れ枠は限定されており、広げる余地はわずかしかない。現在約5%の輸送シェアを6%に増やすことができたとしても、焼け石に水だ。

 欧米で鉄道が貨物輸送の大きな担い手となっているのは、旅客輸送における鉄道のシェアが日本に比べ圧倒的に小さく、その分線路が空いているからだ。日本で貨物列車を大増発するのは、もはや不可能だろう。

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