年度末の2月に道路工事が増えているのは本当!?

 2月になると急激に増えた気がする道路工事。幹線道路では渋滞が発生したり、何度も同じ場所ばかり掘っているな……、と感じることもきっと多いはず。

 しかしそれは先入観ではないのか!? という疑いをもったベストカーWEB編集部では、さまざまな方面に取材を実施。年度末道路工事のナゾに迫る。

 文:WEBベストカー編集部/写真:平野学


国土交通省に聞いてみた

 さっそく国道を管理する国土交通省に電話をしてみた。「年度末に道路工事が増えているか実態が知りたい」と交換台に伝えると、繋いでくれたのが道路局国道・防災課。さっそく聞いてみた。

 ――ずばり、年度末になると工事が増えていませんか?

 そのようなことはないと思います。

 ――2月の工事がやたらと多いような気もしているのですが、それは先入観があるからですか?

 少なくとも国交省の管轄する道路では、年度末にまとめて工事をしようという方針はありません。実際にデータにもあるように、27年度はたしかに2月の路上工事時間は多いですが、同じくらい10月も工事時間があります。

 ――巷で騒がれている予算的なことではないのですか?

 それはないですね。4月頃に計画が立てられて長期的な計画で工事に着工するので、年度末に予算を使い切ろうということだけで工事を計画するのは難しいです。

■国交省の見解をまとめると

 結果は予算使いきりのための工事はないとのこと。下に国土交通省提供の路上工事時間の表をあげた。傾向として工事時間の多い月、少ない月はあるが「年度末だけ増える」というのは少し違うのかもしれない。

27年度に関しては2月、10月、11月の順で工事時間が多い。総じて年度末の3月、年度始めの4月〜5月は工事が少ない(資料提供:国土交通省)
26年度は10月がもっとも工事時間が長く、年度による差もあるようだ。こちらも年度末の3月、年度始めの4月は工事が少ない(資料提供:国土交通省)

自治体に聞いてみた

 国道を管理する国交省の回答を得たので、次は市道などを管理する道路局に電話インタビュー。今回取材に協力してくれたのは福岡市道路下水道局の管理部路政課。国交省とは少し違う現場よりの回答を得ることができた。

 ――ずばり、年度末に工事が集中していませんか!?

 鋭い質問ですね……、ですが年度末だけに工事は集中していません!!

 ――やたらと同じ場所を掘ったり、埋めたりしているように見えますが……

 そのようなご指摘たくさんお受けします。実は道路特有の事情でそのように見えてしまうのです。

 たとえば道路の下には水道管、ガス管、電気ケーブル、地下街などさまざまなものが埋設されています。その工事のタイミングによって「同じ所を掘っている」と感じられていると思います。

 ――ガス工事と電気工事を同時にできないということですか?

 もちろんすべてを同時のタイミングでやりたいです。Aという工事箇所があれば1日〜5日は電気工事、6日〜10日は水道工事、11日〜13日が舗装工事……というのがベストです。

 しかし実際にはAで電気工事、Bで水道工事、Cで舗装工事というように同時多発的に工事があります。

 ――そのタイミングを揃えるのは無理ですか?

 複数業者が同時に、絶妙なタイミングで揃うというのは正直かなり難しいです。

 ――2月や3月はなぜか道路の舗装工事がとても多い気がするのですが?

 それは地中の工事がすべて終わるのが年度末に近いからだと思います。最後に綺麗に舗装する、仕上げの作業になります。

■地方道路行政の意見をまとめると

 工事自体は分散しているものの、最後の舗装工事はすべての仕上げになっているため、年度末に多く見かける。

 一度に複数の業者を集めるのは現実的に難しく、同じ箇所を何度も工事する結果になっている。年間の工事件数は多く、その都度すべての業者をタイミングよく集めるのはかなり難しい。

道路工事中(イメージ画像)

道路に詳しい清水草一氏に聞いてみた

 道路に関連する自治体、省庁の回答はよくわかったので、最後に道路にもとても詳しい清水草一氏に最終的な判断を聞いてみた。

 ――年度末に道路工事が増えるという印象は間違いですか?

 うん、増えていないね。

 ――でも世間一般で予算消化のために、なんて言いませんか?

 もうかなり前のことだけど、まずいまは景気促進のためにも道路工事を前倒しして、早い段階で進めてしまおうという動きがあるんだよ。それに道路予算が潤沢で余り過ぎているなんて認識は違うかな。

 ――昔のイメージのままだということですか?

 そうそう、昔はたしかに年度末にかけて増える傾向はあったけど、いまはそれはもうないよ。

■専門家の意見をまとめると

 年度末の予算消化をするほど現在は道路予算が潤沢ではない。さらに景気対策でなるべく早く道路工事に着工すること方針があり、わざわざ年度末にする意味はない。

 結論としては年度末だけ工事が増えているという認識は、昔のイメージを引きずっているだけで、現状では年度末意外にも工事時間数は多い。

 また役所としても同時タイミングで工事を済ませたい気持ちはあり、現実として業者を都合よく集められない問題もあるようだ。

 無駄な工事はしないべきなのは当然だが、安全で快適な道路づくりはクルマ生活には欠かせないもの。工事渋滞があったとしても工事中の作業員さんに感謝しつつ、ドライブを楽しみたい。

クルマのみならず首都高をはじめ道路行政にも詳しい清水草一氏。
年度末の道路工事増はないという

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