なぜ海外では車名が違うのか
では、なぜ日本と日本国外でわざわざ車名を変えるのか? アクア(海外名:プリウスC)の例で見ていこう。
まず、アクアについては「日本市場では、ハイブリッドの更なる普及に向けた“新たなハイブリッド専用車”として、それにふさわしい車名とした」(トヨタ広報部)という。
いっぽう、プリウスCという車名は「トヨタのハイブリッド車の認知をさらに深めてもらえるよう、プリウスファミリーとして親しんでもらえる車名とした」(同上)との理由で採用したという。
日本では“新しいハイブリッド車”として売り出すいっぽう、海外では“プリウス”の名を使うことで、「トヨタ=ハイブリッド=プリウス」というブランドイメージを確立したい。そんな意図が滲む。
マツダ車も、海外向けはマツダブランド訴求を重視し、「Mazda」を各商品名に付けているという。トヨタもマツダも、自社ブランドを認知させるため、海外では車名を変えているのだ。
別の理由もある。トヨタ広報部は車名変更の理由として「その国・地域に合う(覚えやすい、言いやすい)名前を選んでいること」や「商標上、使用できないケース」をあげる。特定の地域で商標が使えないことも、車名を変える理由のひとつとなっている。
それでも“日本名”を残す理由
では、なぜ世界共通の車名にしないのか?
日本名はほとんど日本でしか使われていないのなら、商標上使えない場合を除けば、全世界で車名を海外名に統一したほうがわかりやすいはず。
この点に関して、マツダは「国内では、個別の商品名をお客様から認知いただいている点を踏まえ、固有の車名を採用している」と答えた。
マツダは2012年に発売されたCX-5や2015年発売のCX-3など、比較的新しい車種は世界共通の車名で販売。いっぽう、デミオ(1996年発売)やロードスター(1989年発売)などは今も日本名を使い続けている。それは、日本で長く親しまれている車名だからこそ。
車名の付け方ひとつを取っても、それぞれの車には、それぞれの意味が込められている。
日本でしか使われていない車名を、今も大切に使い続ける。その裏には、日本のユーザーに対するメーカーの想いが込められているのかもしれない。
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