1965年 フロンテ800/スズキ初の小型乗用車
1960年代の革新的なスズキの作品はフロンテ800である。軽自動車の分野で足場を築いた鈴木自動車工業は1962年秋と1963年秋の全日本自動車ショーに800ccクラスのコンパクトセダンを参考出品、1965年12月に発売した。
これらのショーカーを発展させた2ドアセダンがスズキ初の小型乗用車、「フロンテ800」だ。
これもFF方式のファミリーカーで、モノコック構造のボディとエレガントなエクステリアデザインが話題を集めた。時代に先駆けてドアにカーブドガラスを採用したことも注目点のひとつである。
メカニズムもこだわりが強い。C10型と名付けられた785ccエンジンは、常識破りの空冷2サイクル3気筒だった。
2気筒より騒音と振動が少なく、滑らかさは6気筒エンジンに肉薄する。このエンジンの設計哲学は、その後のスズキのスモールカーに連綿と受け継がれることになった。
サスペンションはフロントがウイッシュボーンとトーションバー、リアはトレーリングアーム/トーションバーの4輪独立懸架だ。
販売網が整っていなかったから売れなかったが、21世紀の今になってみると凄いクルマだったことがよく分かる。
1967年 フロンテ360/流麗なコークボトルライン
1963年に誕生した軽乗用車、スズライト・フロンテFEAの後継として開発され、1967年4月にデビューしたのがフロンテ360だ。
それまでの商用バンとの共通設計から乗用車専用設計となり、コークボトルラインと呼ばれた丸みを帯びたボディのリアに空冷2ストローク3気筒エンジンを搭載。
軽量ボディとスムーズかつパワフルなエンジンの組み合わせがもたらす軽快な走りで人気を博す。
そしてフロンテより3カ月前に登場し、爆発的にヒットしたホンダN360に次ぐセールスを記録し、10年近くにわたってスバル360が支配していた軽乗用車市場の構図をすっかり塗り替えてしまった。
この1960年代末、ホンダN360やダイハツフェローSSなど軽自動車のハイパワー版がデビューするなかで、スズキもこれに負けまいと1968年11月にデビューさせたのがフロンテ360SS。
3連キャブレターを装着し、35psまで高め、125km/hの最高速度を誇った。
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