【時代に刻む名車の数々!!】スズキ100周年 記憶に残る革命車とその礎

1971年 フロンテクーペ/軽初の2シータークーペ

ホンダZから遅れること約1年の1971年9月、スズキは満を持してフロンテクーペを発表した。 ボディサイズは全長2995×全幅1295×全高1200mm。ベルトラインは美しいコークボトルラインになっており、それがリアクオーターウインドウを経てルーフへとつながる。リアエンドも大胆にカットされている
ホンダZから遅れること約1年の1971年9月、スズキは満を持してフロンテクーペを発表した。 ボディサイズは全長2995×全幅1295×全高1200mm。ベルトラインは美しいコークボトルラインになっており、それがリアクオーターウインドウを経てルーフへとつながる。リアエンドも大胆にカットされている

 このフロンテSS以上に記憶に残っている名車が、1971年9月にベールを脱いだ「フロンテクーペ」である。2代目となるフロンテ71のメカニズムを用い、これに流麗なクーペボディを被せた。

 今も語り伝えられている美しいボディは、鬼才ジウジアーロが基本デザインを手がけ、これをスズキのデザイナーがブラッシュアップしたものだ。全高は1200㎜と驚異的に低く、フェンダーやボンネットは軽量なFRP素材である。

 6連メーターやチルトステアリング、低いポジションにセットされたヘッドレスト一体のバケットシートなど、インテリアもスポーティムード満点だ。

 エンジンはLC10W型と名付けられた水冷356ccの2サイクル3気筒で、GXは3連キャブレターにより37ps/4.2kgmを絞り出す。

 リッター当たり出力は100psを超えている。デビュー時は2シーターモデルだけの設定で、時代に先駆けてラジアルタイヤ装着車も用意されていた。

 発売半年後の1972年3月には2+2モデルが投入された。エマージェンシー用のリアシートだったが、発売されるや人気が集中し、2シーターモデルは生産が打ち切られた。

軽ワンボックスのキャリイバンをデザインしたジョルジェット・ジウジアーロ(イタルデザイン)のデザインと言われているがレンダリング段階では1.5ボックスのワゴンとしてデザインされ、生産モデルとの共通点は見出せない。これをスズキの若手デザイナー達がリファインしてスポーツクーペに仕立てた、というのが真相だろう
軽ワンボックスのキャリイバンをデザインしたジョルジェット・ジウジアーロ(イタルデザイン)のデザインと言われているがレンダリング段階では1.5ボックスのワゴンとしてデザインされ、生産モデルとの共通点は見出せない。これをスズキの若手デザイナー達がリファインしてスポーツクーペに仕立てた、というのが真相だろう
フロンテクーペのコクピットは軽自動車離れした斬新なレイアウト。フルスケール1万rpmのタコメーターと140km/hスケールのスピードメーター、燃料計、水温計、電流計、時計の6連メーターを配置。ウッド調のスポーティな3本スポークステアリングやバケットタイプのスポーツシートを装備
フロンテクーペのコクピットは軽自動車離れした斬新なレイアウト。フルスケール1万rpmのタコメーターと140km/hスケールのスピードメーター、燃料計、水温計、電流計、時計の6連メーターを配置。ウッド調のスポーティな3本スポークステアリングやバケットタイプのスポーツシートを装備
フロンテクーペの原案とされるG・ジウジアーロが1969年にデザインした <br>Microutilitaria(マイクロユーテリティ)
フロンテクーペの原案とされるG・ジウジアーロが1969年にデザインした
Microutilitaria(マイクロユーテリティ)

1979年 初代アルト/「あるといいな」で47万円で登場!

 「アルト、47万円」。昭和54年デビュー当時の広告に大きく書かれた初代アルトの全国統一47万円という低価格には大いに驚かされたものだ。今でも「アルト」というとこのモデルが思い浮かぶ人も多いはず。4ナンバー(貨物登録)のボンネット型バンを自家用に使うことで、低価格&低諸費用を実現させるという画期的なクルマだった
「アルト、47万円」。昭和54年デビュー当時の広告に大きく書かれた初代アルトの全国統一47万円という低価格には大いに驚かされたものだ。今でも「アルト」というとこのモデルが思い浮かぶ人も多いはず。4ナンバー(貨物登録)のボンネット型バンを自家用に使うことで、低価格&低諸費用を実現させるという画期的なクルマだった

 が、1970年代になると軽自動車の販売は下降線をたどり、これにオイルショックと排ガス規制が追い打ちをかけている。スズキも例外ではなく排ガス対策に奔走した。

1975年秋に軽自動車は排気量を550ccに拡大したが、販売は上向きにならない。この危機を救ったのが、軽ボンネットバンの「アルト」だ。

 フロンテは1979年5月にFF方式に生まれ変わった。その商用車版として開発され、誕生したのが3ドアハッチバックのアルトだ。

 ベーシックに徹した潔いコンセプトで、合理性を徹底追及している。開発の指揮を執ったのはのちに社長、そして会長になる鈴木修氏だ。

 彼はコスト低減を徹底して50万円以下の低価格で販売できる新しい軽自動車を開発してほしい、と命じ、物品税がかからず、保険料も安い4ナンバーの軽商用車に目をつけた。

 エンジンは539ccの2サイクル3気筒だけと割り切り、グレード構成も1モデルだけに絞り込んでいる。

 世間をアッと言わせたのが常識破りの全国統一価格を採用したことだ。しかも47万円の低価格は衝撃だった。社名も鈴木修氏の鶴の一声「こんなクルマがあるといいな」から付けられたという。

 当然、空前のヒット作となり、ボンバンブームの火付け役となっている。1981年1月には4サイクルエンジンを投入。快適性を大きく向上させた。フロンテの販売を打ち切らせるほど売れに売れた稀代の名車、それが初代アルトだ。

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