なぜハリアーがこれほど大ヒットしたのか?
新型ハリアーの売れゆきが好調なのはSUVブームのなかで、絶対的なニーズが高まっていることに加えて、これまでの日本車SUVに足りなかった高級感、質感の高さ、見た目のカッコよさを備えながらも価格がお手頃だった、ということにつきる。
加えて、2.5ハイブリッドに、従来の4WDに加えて2WDも設定し、最新の安全、安心パッケージの装備した点も売れゆきを伸ばした要因だろう。
また発売した時期が、ちょうどトヨタ全系列店扱いになった直後(トヨタ全店扱いは2020年5月~)で、販売力が一気に増強した点も追い風になったと考えられる。
私も正直、ハリアーがこれほど売れるとは思っていなかった。首都圏にあるトヨタ系列店を回る度に「新型ハリアーの人気の原因と、競合する対抗モデルは何か」と尋ねて回ったが、多くの営業担当者が同じような回答をした。
「新型ハリアーのライバルは強いていえば、レクサスNX、RXだが、レクサス車はハリアーより100万~200万円も高いので、競合しても相手にならない。
また、CR-V、CX-5、フォレスターはいずれもハリアーの対抗モデルと考えていない。ハリアーのライバル車としてよくお客様から言われるのはRAV4だが、RAV4はオフロード四駆で都会派SUVではない。
都会派SUVとして考えた場合、輸入車と肩を並べるほどのプレミアム感と価格競争力を持っているのはハリアーだけ」。
複数の営業マンから聞いてなるほどと思ったのは「レクサスに匹敵するほどの高級感、品がハリアーにあるが、レクサスほど高額ではない。それほど高くない価格で買えるから人気なのだ」と。
あとは販売面が強化されたことも売れた原因の一つだろう。これまでハリアーは、トヨペット店の専売モデルだったが、現行4代目にバトンタッチしたのを機にトヨタ全系列店扱いに拡大した。
トヨペット店の全国店舗数は2019年8月現在(業界調べ)で51社913店、トヨタ店48社、889店、カローラ店72社1190店、ネッツ店103社1451店となっている。
つまり従来よりも販売店舗数が約5倍増強されている計算になるのだから、相当販売力がアップされているといえる。当然、これまで扱ってこなかった3系列店にとって、新型ハリアーは、ドル箱的な魅力的なモデルとなっている。
新型車発売日の2020年6月17日から首都圏のトヨタディーラーを回ったが、大部分のトヨタ店、カローラ店、ネッツ店のショールームでは広いガラス張りに「新型ハリアーとアルファードを新たに扱うようになりました」といった張り紙でアピールしていた。
しかも営業マンのやる気も違う。新型ハリアーは人気が高く高額車であるから、扱うディーラーにとっては収益性が高いので営業担当者はより積極的に売るスタンスで臨んでいるのだった。
受注構成比を関係者から聞いたのだが、系列店別に見ると従来専売店だったトヨペット店が最も多く全体の40%程度を占め、次いでトヨタ店、カローラ店、ネッツ店の順になっているという。尚、具体的なパーセンテージまでは明かせてくれなかった。
ハリアーは高級車であるから、上級モデルの保有ユーザーが多いディーラーほど受注構成比は高くなっている。代替えする下取り車は今のところ70%程度がトヨタ車で占めるという。
車種的には歴代ハリアーを筆頭にクラウン、マークX、カムリ、RAV4、エスティマ、ノア/ヴォクシーなどが目立つ。
他メーカーの下取り車はエクストレイル、フーガ、セレナ、CR-V、ステップワゴン、CX-5、アクセラ、フォレスター、レガシィなどである。
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