シフトチェンジによる減速は、BレンジやSレンジが主流に
一般的なATのシフトパターンは、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)が基本のパターンだ。
その下に、以前は、発進時にエンジントルクが必要になるようなシチュエーションでの低速走行を担うL(ロー)シフトが加えられていることが多かった(今でもLレンジ付のクルマもある)が、現在は、コンパクトカーを中心にCVTが主流となったため、B(「ブレーキ」のB)やS(「スポーツ」のS、日産の旧型ノートでは「スマート」のS)レンジを採用する場合が多い。
変速比を自在に変えられるCVTの場合、変速比を抑えて擬似的にエンジンブレーキを効かせているため、「Bレンジ」と表現している。また、モーターで駆動するEVやハイブリッド車の場合も、「Bレンジ」という表現となる。
また、Dレンジを左右に倒して、マニュアル操作に切り替えるMシフトも増えてきた。ドライバーが意図的にギア比を変更し、エンジンブレーキを使って減速するという意味では、オーバードライブスイッチと目的は同じだ。
ちなみに、最近の多段ATの中には、さらなる燃費改善を狙いとして、オーバードライブギアを複数もつクルマも多い。たとえば、レクサスのLC500の10速ATだと、7速1.000、8速0.792、9速0.640、10速0.598と、3つもオーバードライブギアがある。なんとも驚きだ。
ACCで事足りる
近年増えてきているパドルシフトも、オーバードライブスイッチと同じような役割だ。ホンダのインサイトやNSXといったシフトチェンジをスイッチで行うクルマの場合、フットブレーキによらない減速操作は、パドルシフトによって行うようになっている。
しかしそもそも、自動で車速を維持したり、車間保持をしてくれるアダプティブクルーズコントロール(ACC)を頻繁に使う方ならば、たとえオーバードライブスイッチがあったとしても、使う機会はほとんどないだろう。
もはや、オーバードライブスイッチは、軽の商業バンのような、ごく一部に残る4速AT車でしか見ることはできない。オーバードライブスイッチは、技術進化によって、その役割を別のスイッチへと譲り渡している。
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