■クラウン VS ベンツEクラス
現行クラウンは、レクサスLSと共通のプラットフォームを使い、以前に比べて走行安定性を向上させた。操舵した時の反応も正確になった。
その代わり柔軟な乗り心地は失われた。以前のクラウンでは、時速120km程度を上限にこの上なく安楽に移動できることが強い魅力だったが、ユーザーの若返りを目的に手放した。
その結果「ベンツみたいなクラウン」になった。これではベンツではない日本のクラウンを選ぶメリットが得られない。クラウンの購買層は中高年齢層で、予算にも余裕があるから、本家本元のメルセデスベンツEクラスを買う。
あるいは以前のクラウンの安楽さをアルファードに見出す。最近はヴェルファイアの売れゆきが下がり、アルファードが1カ月に1万台前後を登録する。この売れゆきは、クラウンの黄金時代だった1990年代の前半と同等だ。
優れた走行安定性も大切だが、それと併せてクラウンには、Eクラスよりも安楽な乗り心地が不可欠だ。客観的に見ればクラウンは優れたクルマに成長したが、それが「いいクラウン」とはかぎらない。
(TEXT/渡辺陽一郎)
●いいクルマ指数
・クラウン…7
・Eクラス…8
■カムリ VS ボルボS60
カムリは足回りが柔軟に伸縮してホイールベースも長く、走行安定性と乗り心地が優れている。直4、2.5Lのハイブリッドは、モーターが相応に強力で加速も優れ、ノイズは小さい。
S60も低速域では少し硬めながら乗り心地は快適で、峠道などの曲がりやすさはカムリを上回る。ボンネットの長い外観も魅力だ。内装はカムリも上質だが、S60には独特の解放感が伴う。クルマ好きのユーザーから見ると、S60の適度にスポーティなデザインと運転感覚は魅力的だ。
ただし、総合的に判断するとカムリの魅力が強い。居住性では後席の足元空間がS60よりも広い。WLTCモード燃費は、カムリで上級のWSが24.3km/Lだ。ボルボS60B4モメンタムの12.8km/Lに比べると、燃料代を約半額に節約できる。価格もカムリWSは393万7000円、S60B4モメンタムは499万円に達する。
ボルボS60のような上質なセダンは、ほかのブランドでも探せるが、快適性と実用性を併せ持つ買い得なLサイズハイブリッドセダンはカムリのみだ。唯一の選択になる。
(TEXT/渡辺陽一郎)
●いいクルマ指数
・カムリ…8
・S60…7
■グランエース VS ベンツVクラス
この2車種で大切なのは2/3列目シートの快適性だ。特に重要なのは、折り畳み機能のために座り心地が犠牲になりやすい3列目だ。そこを考えると、この勝負はグランエースの圧勝になる。
6人乗りのプレミアムでは、3列目にも2列目と同じエグゼクティブパワーシートが装着されるからだ。3列目も極楽的な快適性を達成しており、メルセデスベンツVクラスを含めて、ほかのミニバンはグランエースにかなわない。
(TEXT/渡辺陽一郎)
●いいクルマ指数
・グランエース…8
・ベンツVクラス…5
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