本田宗一郎もひと目ボレ! 現代のダックス125に通じるスタイルはアルミフレームで計画された

名前は後付け、本田宗一郎氏の愛犬「ダキシー」が由来!?

 ダックスのネーミングはデザインの時点で決まっておらず、営業サイドからの提案だったとのこと。また、本田宗一郎氏の愛犬「ダキシー」が由来との説もあるが、森岡氏によると「その辺はよくわからないですけど、わかりやすかったんじゃないですかね」とのこと。

 ともかく1969年8月から市販されたダックスホンダST50/ST70、およびアップマフラーの同エクスポートは反響が凄まじかった。特に女性に人気だったのが印象的だったと森岡氏。同9月から各国でも販売が開始され、米国、欧州でも売れた。

「特に南仏ではビーチ向けのレンタルバイクとしても売れました。単純にモンキーの大型版だとここまで売れなかったでしょうね。さすが社長は先見の明がある。信じたものを貫いた結果かと思います」

1969年の試作でインパクトが強烈。「冬でも売れる商品が欲しい」との要望から、ビーチならぬ雪上を走れる低圧タイヤをダックスに履かせた。十分な走行性能が得られず、結局ボツに
1969年の試作でインパクトが強烈。「冬でも売れる商品が欲しい」との要望から、ビーチならぬ雪上を走れる低圧タイヤをダックスに履かせた。十分な走行性能が得られず、結局ボツに

発売7年で65万台以上を販売した驚異のヒットモデルに

 その後、ダックスは様々なバリエーションを販売。世界的に見ればモンキーのセールスを上回ったという。ちなみにモーターサイクリスト誌の1976年10月号によると、同年6月末におけるダックスの累計生産台数は65万1125台。販売7年でこの数字は驚異的だ。

 なおカブ系エンジンを搭載するモデルは、ダックスのほか、モンキー、ハンターカブなど様々あったが、これも頑丈で燃費がよく、様々なニーズに応えられるエンジンだったからこそ。

「アメリカでスーパーカブを販売した際、あまりセールスがよくなく、在庫があった。それをなんとかしようと色んなバリエーションを考えた結果、新しい技術も出てきた。失敗を上手く成功につなげることができたということでしょうね」

 森岡氏にとってダックスという存在は「オリジナリティという点で凄くやりがいがあった。50年経っても皆さん愛されている、かけがえのない自分の息子のようなバイクです」と話す。そして、「ホンダのバイクを愛してくださってありがとうございます。いつまでも可愛がって乗ってもらえることは、デザイナーにとってこれ以上嬉しいことはないです」と締め括った。

1974年のカタログ。キャリア付き、マニュアル4速(標準はノークラッチ3速または4速)、スポーツ、ノーティダックスなど様々な派生車とカラーが登場した。中でもホワイトダックスは人気
1974年のカタログ。キャリア付き、マニュアル4速(標準はノークラッチ3速または4速)、スポーツ、ノーティダックスなど様々な派生車とカラーが登場した。中でもホワイトダックスは人気

時代は一巡し、新型ダックスは高コストを克服してプレスフレームを採用!

 そして現代のダックス125も、最大の特徴であるプレスフレームを再現している。

 モーターサイクルショーで話を伺ったダックス125開発責任者の八木 崇氏は、「プレスバックボーンフレームを今の時代に出すことが我々のこだわりです。今の時代にプレスをやるのは、それ以上に安い技術があるのでコスト的なところも含めてハードルが高いのですが、ダックスはプレスフレームで再現したいという気持ちが開発としては強かったですね」と語る。

 また、昔と比べて電子部品などが大幅に増加していることもあり、「フレームの中に色々なものを入れながらデザインを成立させるのが苦労した」とデザインPLの横山悠一氏が話す。

 ここ最近でプレスフレームが外観を兼ねるバイクはなく、元祖ダックスを現代に再解釈したフォルムは大いに魅力的だ。そしてモンキーより大柄で、二人乗りしやすいキャラクターも元祖と同様。50年前の昭和と同じく、令和の現代にもダックスは「モンキーのお兄さん」として走り出す。

右からダックス125開発責任者の八木 崇さん、デザインPLの横山悠一さん、国内企画営業領域担当の常松智晴さん
右からダックス125開発責任者の八木 崇さん、デザインPLの横山悠一さん、国内企画営業領域担当の常松智晴さん
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